復員が本格化すると、札幌市では市役所二階に九月上旬から復員相談所を、札幌駅前に臨時出張所を設けた(十月二十日まで)。「還(かえ)る兵隊さんや応徴士に感謝をこめて」というポスターが掲げられ、一日に七〇件の相談が持ち込まれたという。その半数は就職問題で、住宅問題、旅行、外食券、配給、布団、衣料の斡旋などにあたった。新聞では「復員者が学歴や、かつての地位身分、特殊技術などを活かして働くことはなかなか困難な状態にあるが、白紙にかへって新出発する意気込みならば決してむつかしいことではない」(道新 昭20・9・12)と報じている。
十二月一日には、軍人の復員業務にあたる第一・第二復員省の設置にあわせて、札幌に北部復員監部が開庁した。
二十一年十二月末の札幌市の統計では、復員総数は一万四三四八人、未復員者は三九〇〇人となっている(昭21事務)。まず札幌で一時的に落ちつき、やがて道内各地や本州方面に移っていくものも含んでいる。シベリア方面の抑留者も多く、同年九月には市では連合公区長会と協力して、帰還促進運動をおこなっている。
「定着地の引揚者数」として、二十三年七月末の時点で四六八七人、二十五年八月末で五七五九人となっている(各年 北海道年鑑)。