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札幌市警察署の発足

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 二十三年三月七日、全国一斉に自治体警察が誕生した。全体の定数は九万人で、札幌には警察長を含め五六八人と、一般職員五〇人が配置された(この定数条例は、四月の第二回定例会で可決され、五月一日より施行された)。十時半から、警察署の会議室で、高田市長・小寺公安委員長らが出席し、開庁式がおこなわれた。警察長には、小松久次郎が就任した。自治体警察は全道で七八市町村に設置された。のちに札幌市の市域の拡大する豊平・琴似にも自治体警察が生まれた(従来の札幌署の管轄範囲内では、上記三署のほかに千歳・石狩・当別署が生まれた)。それ以前の札幌署の定員は約四〇〇人であったから、この自治体警察としての札幌市警は大幅な増員となった。
 残る全道一町一九六村を管轄する国家地方警察札幌管区本部でも、三月七日、道議会議事堂で開庁式がおこなわれた。札幌管区本部の下に、下部機関として札幌・函館・旭川・釧路・北見の五方面隊がおかれ、全道に三五地区の警察署がおかれた。つまり、札幌には自治体警察としての市警と、周辺の村々を管轄する国家地方警察札幌方面隊管内地区警察署の札幌署がおかれたのである。

写真-6 自治体警察の発足

 発足から九カ月余りたって、小松札幌市警察長は次のように述べる(新年に際して 北海警友 昭24・1)。
発足当初私は自治体警察の前途に不安を抱かざるを得なかった。即ち自治体警察公安委員会の管理の下に執行に当るとは言え、昇進や異動の範囲を狭められた警察職員の士気を如何にして昻揚するか情実にとらわれず強く正しく執行せしむるにはどうしたらよいか、装備予算待遇は如何、各独立した自治体警察の横の連絡はどうするか等悩みは深刻であり其の行手には幾多の難関が予想せられた。
然し発足後の状況を見るに署員の自覚により士気も旺盛各種行務も強力に実施され、又国家地方警察との連絡協調も円滑であり、自治体警察の連繫の為め自治警察協会の設立等あり着々目的が達成され、前の不安を一掃した感があるのは洵に同慶に堪えない。

 二十四年五月、北海道自治警察協会の結成をみて、給与や待遇の改善、各種情報の連絡などで相当の成果をあげたという。小松はこの協会長に就任している。発足当時には国家地方警察自治体警察との対立などの齟齬(そご)もあったが、『北海警友』を共同機関誌とするなどの努力をへて、三年後には「新制度発足以来一部に懸念された弱小自治体署の警備、捜査力問題も国警の協力、応援で一応氷解」し、「新制度の成長、運営は大体において順調な状況にある」(昭25道年鑑)と評価されるようになった。