地方制度や警察制度の改革と連動して、消防制度の改革も進められた。まず、二十一年十二月の政府の警察制度審議会の消防制度改革に関する答申により、二十二年四月に消防団令が施行されると同時に、警防団令が廃止された。これを受け、市では七月末日、札幌消防団を設置した(団長は宇野秀次郎)。ただ、この消防団の設置は義務制であり、指揮権もまだ警察にあった。団員も予備の警防団員であった。七月二十八日には消防団に対する重要な建議や諮問に応じるため、市議会に消防委員会が設けられた。
二十二年十二月に公布された消防組織法は、警察からの消防の独立と国の事務から市町村の管理への移管という大改革をもたらした。市では十二月二十三日、警察・消防制度審議会を設置し、調査を開始した。消防組織法の施行を前に、二十三年三月一日の定例市議会で関連の条例案が審議・可決された。こうして三月七日、官設の札幌消防署は市に移管され、自治体消防としての札幌市消防本部が誕生した。同時に消防団に対する指揮監督権が消防本部の長に移管された。
同年十二月の定例市議会に、市長は消防団の設置について提案した。自治体消防たる札幌市消防本部が「常置消防」であるのに加え、その「予備的機関としての消防団」の設置をめざしたもので、火災消防時の援助活動、予防宣伝などをおこなう災害予防活動、非常災害時の救助活動という役割が明確化された。定員は約一〇〇〇人で、分団や区域などは現行どおりとした。
この条例の市長原案は二十四年五月の定例市議会で、修正が加えられたのち、可決された。ここに消防組織法にもとづく任意の消防団が発足した。結団式は十月一日におこなわれた(以上七・八期小史)。