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都市計画税の導入

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 昭和三十二年度には新たに都市計画税が導入された(表4)。同税は固定資産の所有者を課税対象とし、税率は固定資産最高評価額の一〇〇分の〇・二であった。これによって市は九〇〇〇万円の増収を見込んだ(道新 昭31・12・6)。
 市は、同税導入の理由を次のように説明している。三十年七月に「都市計画協議会」を設置して都市建設の方向を模索してきたが、街路、区画整理、公園、下水道などの主要な都市計画事業には三一三億円を要し、緊急に実施を要する事業だけでも下水道延長費三四億円をはじめ五六億円が必要となるため、既存の歳入では調達が困難である。また公債財源は災害復旧や水道、交通事業等収益事業に対する投資に限定しており、その償還が財政を圧迫する心配がある、というのである。
 このように市は都市計画事業に力を入れたが、その背景にはすさまじい人口増加や住宅増に社会資本の整備が追いつかないという危機感があった。例えば、下水道の普及率は三十二年度で二〇パーセントにとどまり、財源の手当てが市費と国庫補助のみでは普及率を一〇〇パーセントにするためには三〇~四〇年を要するとされていた(道新 昭32・10・4)。
 下水道事業を促進させるために、市は三十二年秋には、料金制の導入を検討していたが(道新 昭32・10・4)、三十四年度予算編成時には財源と利用料が論議の焦点となった。まず財源については、「一〇年計画」では、起債五〇パーセント、国庫補助二〇パーセント、市費三〇パーセントの割合で調達するとあるが、起債に対する利子支払いが財政圧迫を招くので別途財源を調達すべきであるとの意見が出された。これに対して市は、国庫補助は二〇パーセントが限界なので代替財源は起債以外に存在しないと答弁している。
 結局、特別委員会は、基本料金を単位立方メートルあたり一円程度値下げし、また公衆浴場は原案より六割減の一立方メートルについて二円(一般家庭では月五〇円、公衆浴場は月二〇〇〇円の負担)として条例案を可決した。こうして三十四年秋には、市内の普及率は五〇パーセントになるとされた(道新 昭34・1・10、1・13)。