昭和二十六年九月十三日、札幌駅の増改築工事が開始された。市はこの増改築事業の負担をできるだけ少なくするため、新しい駅の地下一階約五〇〇坪に商店街を設置する計画をたて、出店業者から一億円を出資させてこれを財源の一部にしようとした。当初市としては、五、六軒の大きな業者の出店を望んだが、坪あたり二一万円という負担金が大きすぎること、駅地下での営業で採算がとれるかという点に疑問がもたれ(協同組合組織による新札幌駅地下の
ステーションデパート 札幌経済 昭28・7)、出店の申し込みは全くふるわなかった。そこで市は、中小業者の振興を図るためにも、駅地下商店街に中小業者が出店しやすい条件整備に取り組んだ。その結果、駅地下商店街は「協同組合」組織による「デパート経営」方式を採ることとなり、市は金融機関に一〇〇〇~二〇〇〇万円を預託し、協同組合はこれをもとに金融機関から総工費一億一七二〇万円のうち五〇〇〇万円を借り、五年から一〇年で返済する。また出店希望者は、坪あたりの負担金二一万円のうち一四万円を開店までに七回に分けて納入し、残りの七万円を坪あたり一〇〇円程度の日掛けで五年間で支払うこととなった(道新 昭27・10・26)。
この計画変更により、七〇店を超える業者が出店を希望し、
ステーションデパート開業の計画は軌道に乗ることとなった。同二十七年三月二十四日には、協同組合の創立総会が
市民会館で開催され、新しい札幌駅の開業式から一〇日後の同年十二月二十五日、
ニュース映画劇場「テアトル・ポー」とともに
ステーションデパートの開業披露式が行われ、翌二十六日から一般に開店した。最終的な出店数は九一軒であった(道新 昭27・12・26夕)。
写真-4 オープン当時のステーションデパート(昭27)