ビューア該当ページ

GHQの土地政策

325 ~ 326 / 1021ページ
 このように「農地調整法」改正案の審議が進められていた二十年十二月九日、GHQは日本民主化政策の一環として「農地改革に関する覚書」を日本政府に指令し、農民の解放を強く求めると共に、農地改革案を翌二十一年三月十五日までに提出することを求めた。この指令は、審議中の「農地調整法」改正案の帝国議会通過を支援する結果となった。しかし、この第一次農地改革案では地主保有地を平均五町歩としたために全小作地の三九パーセントを開放するに止まり、しかもこの改革案に不満だったGHQの勧告で農地委員の選挙は実施されず、小作料の金納化と農地価格の決定をみただけであった。
 このようなことから第一次農地改革に対する内外の批判が強まり、二十一年六月、対日理事会におけるイギリス案を参考にした上で、GHQは日本政府に対し農地改革の徹底的断行を求める次のような「勧告」を指示した(北海道編 北海道農地改革史・下巻 昭32)。
①小作地の保有限度は内地平均一町歩・北海道四町歩である。保有面積は世帯単位で計算し、隣接の市町村に居住する場合は不在地主として扱う。
②自作農の所有する農地は、内地平均三町歩・北海道一二町歩とする。
農地改革は昭和二十年十一月二十三日現在(第一次農地改革要綱の公表時)で実施する。
④保有限度以上の農地は強制買収される。
⑤買収された小作地は、昭和二十年十一月二十三日現在の小作者が優先的に買取ることができる。
農地改革事業は、法案がGHQに承認されてから二年以内に完了する。