賃上げ要求運動は、昭和三十一年から総評傘下組合を中心に官民労組一体のスケジュール闘争を軸に組織されるようになり、札幌でも地区労加盟組合を中心とする
札幌地区共闘委員会ができた。職場交流やストライキピケ動員などの支援行動も組織されたほか、同年春闘では、官公労の順法闘争や年休戦術、職場集会などに合わせて日本麦酒労組札幌工場支部などが無期限部門ストに入った。中小労組の結成もあいつぎ、「料金は高いが恵まれぬ運転手」(道新 昭28・7・20)といわれたハイタク各社組合による
ハイヤー労連(のち全自交札幌連合会)も誕生した。秋季年末闘争では
中小企業労働者総決起大会が開かれ、同年結成された金星自動車労組や札幌トヨペット労組が、結成と同時に無期限ストに入って賃上げや年末・石炭手当などを獲得し(札幌の労働運動)、札幌市学校監視員労組の賃上げ要求は道地労委の斡旋で妥結した(労働争議と事件の概観)。
三十二年春闘では、「神武景気」を背景に交渉のヤマ場にストを集中配置する「高原闘争」方式が採用され、札幌でも四二組合・二万二〇八七人が参加し、二十九年に分裂した
古谷製菓の労組と従組が、春闘を機に共闘を組織し三十二年十月合併した。また日糧製パン労組や北海学園教職組も賃金凹凸是正などを要求し、金星タクシー労組の会社側の組合介入抗議無期限ストに対して
ハイヤー労連が連帯ストを指令し、団交促進を北海道地方労働委員会に申請中の太田病院組合員がビタミン注射で激励するなど中小民間組合の連帯活動も活発化した。三十三年二月、中小二八組合による中小企業労組連絡協議会が結成され(昭43札幌地区中小労働組合連合会)、三月には、個人加入者一七〇人によって、企業の壁を払った札幌地区一般合同労組が結成された(札幌の労働運動)。
写真-3 古谷製菓の賃金争議(大通公園 昭30年)