占領終結によって町内会結成禁止の制約が事実上解除された。市行政に対する市民の協力組織再編成が市の課題となり、解散した衛生組合の再結成が二十七年六月、第一回市赤痢予防対策打合会に提案された(道新 昭27・5・1)。二十五年以来増加の一途をたどる赤痢発生の予防打開策に、市は対策本部を設置し、運動方針として防疫陣の強化には、一般市民による自主組織を「結成せしめ、公衆衛生知識を普及する」こととして、各地区毎に衛生協力会を結成すべく、市長・関係者が「総動員で結成勧奨に努力」した(昭27事務)。背景に、駆除事業は衛生協力会の組織活動を基盤として実施するとの厚生省の方針があった。その結果、七月の幌北地区を最初として二十七年末に一六協力会が結成され、二十八年八月までに全市二三区のうち中央地区以外の全地区(全市の六五パーセント)に、二十九年には札幌市衛生協力会連合会がそれぞれ設立され北海道衛生連合組合への加盟とともに保健所の外郭団体となった。
さらに二十九年六月、厚生省は、より衛生協力会を活発化するため伝染病予防法を改正、駆除事業の実施主体をすべての市町村とし、駆除事業の計画立案・指導と必要な措置は都道府県が行うこととした。駆除費についてはすでに二十五年に国庫補助が廃止され、二十九年度から地方交付税制に改められた。市役所出張所に衛生協力会事務所を設置し会費を一世帯当たり二〇円とし、薬剤費の三分の一を市が補助する仕組みとなった。前回二十三年八月の解散理由に挙げられた「政治的に利用されないように」との厚生省の注意については、「役員は市議・元市議が目立っている」(道新 昭28・8・10)現状であり、「役員の選出を民主的に行うべき、奉仕を強制するな」(道新 昭29・1・23)という声もあったが、市の調査によると、市民の「協力会を必要とする」意見は約七割を占め、市は住民多数の支持を得たとみた(山田大秋 衛生協力会について 広報 昭34・9・1)。
衛生協力会の業務内容は、二十三年に結成・解散した衛生組合規約内容と基本において大差ないが、活動の中心は衛生思想の普及や伝染病患者の届出、ネズミ・昆虫の発生防止及び駆除などで、取り締まり的要素を緩和したものとなった(広報 昭28・8・15)。