四十五年段階に、札幌市関係の社会福祉事業団体には次のようなのが存在した。
①社会福祉法人札幌市社会福祉協議会 二十七年二月十一日、設立総会を開催した。初代会長は札幌市長・高田富與が就任し、役員構成は理事二七人、監事三人、評議員八三人、職員は事務局長以下一三人であった。市内の地区組織活動の強化を図る上から、市出張所行政範囲に準じて、地区社会福祉協議会活動を考慮し、全市民参加の住民福祉活動を目指す。三十八年より地区社協を結成し、二七社協を組織した。三十九年五月に社会福祉法人の認可が下りた。四十一年より札幌市より公益質屋を受託経営することになり、この間市民の各種福祉団体の育成強化を図る上から事務局を引き受けた。なお、社協会長は、三十六年より民間人となり、阿部謙夫が迎えられた。
四十三年度の事業概況を紹介すると、低所得者の更生活動、しあわせを高める運動の推進、心配ごと相談所の開設、世帯更生資金の貸付、被保護世帯の新入学児童にランドセル、中学卒業生に記念品贈呈など。さらに、青少年活動の推進、社会福祉事業施設の振興、老人クラブ活動の推進、母子福祉活動の推進、心身障害者の福祉活動の推進、愛情銀行の運営、共同募金運動の推進、公益質屋の運営、手稲中央保育所の運営等であった。
②札幌市季節保育所連合会 当初、札幌市社会福祉協議会に部会を設け、季節保育所の刷新強化を図っていたが、各季節保育所の連絡協調、親睦と保育事業の円滑な運営と健全な発達を企画し、三十八年六月連合会を結成し、事務局を市社会福祉協議会に置き、事務局長を局長に、事務処理を同職員の兼務により行った。四十三年度事業概況によれば、園児の交通安全を守る事業、黄色いマフラーを全園児に配布、簡易保育所保母研修会の開催、役職員研修会開催、研修会では、保母の悩みと問題点、保育所運営と人件費についてがテーマとなった。施設見学、永年勤続者の表彰を行った。
この他市内所在の社会福祉事業団体として、北海道社会福祉総連合、鉄道弘済会北海道支部、社会福祉法人北海道社会事業協会、また社会福祉センターとして北海道立社会福祉館、北海道母子福祉センター等があった(札幌市社会事業のおいたち)。
以上のほかに、札幌市婦人団体連絡協議会(昭29設立)では、三十六年社会福祉部を設け、女性が生活苦等から売春従業婦への転落防止のため「純潔金庫」(のちの「すずらん金庫」)を開設した。具体的には、「今日の生活費」に困るような、緊急に救済を必要とする女性を対象に、貸付・給付を行うもので、北海道婦人相談所や札幌市福祉事務所と協力しながら行った(七章五節参照)。