表-17 札幌市学校施設開放事業要項 |
1.主旨 | 青少年の余暇善用をはかるために,屋内体育館,校庭(以下「学校施設」という)を積極的に開放し,スポーツの振興と心身の健全育成に資する。 | ||
2.実施方針 | |||
(1) | 開放指定校 地域の実情を考慮し,学校教育に支障のない範囲において教育委員会が指定する。(東札幌小学校) | ||
(2) | 対象 使用団体責任者の申込みによる。 ア 青少年グループ イ 事業所単位 ウ 地域集団単位 | ||
(3) | 利用できる種目 | ||
屋内運動場 | バレーボール競技 バスケット競技 卓球競技 | ||
校庭 | ソフトボール競技 その他特に教育委員会が札幌市学校施設開放事業の趣旨に適当と認めた行事 | ||
実施期間 | 学校教育に支障のない範囲において使用する。期間は昭和四十二年に限り,九月~十月とする。 | ||
3.運営 | |||
(1) | 学校開放事業主事 学校施設開放指定校に,学校開放事業主事をおく。学校開放事業主事は,開放施設の管理と使用上の指導を行う(別途基準による)。 | ||
(2) | 指導員 学校施設開放指定校に,指導員をおく。指導員は青少年のグループ育成指導にあたる。(別途基準による) | ||
(3) | 利用時における事故の責任所在 使用者並びに使用団体責任者が負うものとする。 | ||
(4) | 使用申込方法 学校施設使用申請書(様式1)に所定事項を記入し,当該学校長に提出する。当該校長は内容を審査したうえ,学校施設使用承認書(様式2)を交付する。(別途基準による) |
札幌市体育指導員連絡協議会「友穆」(昭42.10)より作成。 |
この事業の目的は、日頃スポーツの場に恵まれない勤労青少年に、学校教育に支障のない範囲で体育館等の屋内運動施設を無料で開放し、青少年の健全育成と体育・スポーツの振興を図ることにあった。おりしも、手稲町との合併による急激な人口増加やオリンピック冬季大会の札幌開催の決定という新たな事態に直面して、市の社会体育行政は本格的な見直しを迫られた。
四十二年八月、市は東札幌小学校を開放事業指定校とし、九月から実施に移された。開放事業指定校は四十三年に二校、四十四年に二校、四十五年に二校と漸増傾向を示したが、全市的な広がりをみるには、いくつかの困難な課題があった。開放事業指定校の増加をはばむ最大の要因は、学校および地域の受け入れ体制の問題であった。開放事業を推進するには、指定校となる学校施設の管理上の問題に加えて、教職員の理解が必要であったし、また地域において事業そのものを推進するための体育団体が必要とされたが、その受け入れ団体も少なく、組織も弱体であった。最初の指定校であった東札幌小学校は、校区に社会体育団体としての東札幌体育振興会が結成され、地区・学校推薦の体育指導委員がその受け皿となったことにより、開放事業に関する学校と地区との連携が図られた。その後、市の学校施設開放事業は、地域におけるスポーツ組織としての体育振興会の結成、体育指導委員制度の充実と深くかかわりながら展開された。
当初、体育館を中心に行われた施設開放事業は、四十六年からは体育館のみならず、屋外運動場、プール(写真11)も開放の対象とされ、開放指定校も七校から四一校へと一気に拡大された。事業の内容的な変化は、事業目的がこれまでの勤労青少年の健全育成から、「市民の健康増進と体力づくりの場としての活用」という表現に変えられたように、その枠が全ての勤労市民、婦人を含めて大きく拡大されたことである。とりわけ札幌オリンピック大会を一年後にひかえ、市民のスポーツに対する関心が一層高まった時期であり、市民のスポーツ欲求とあいまって開放指定校の増加、利用施設の拡充、平日の利用者の夜間使用が可能となるなど、学校施設開放事業の内容が充実した。本市は四十七年四月に政令指定都市となり、社会体育の振興は区内の重要な行政施策の一つになった。社会体育は、体育がもつ本来的な性格とともに、体育を通して豊かな人間関係を創造することにある。区における社会体育はかかる基本的観点から、行政による住民本位の体育・スポーツ計画の策定とユニークな実践の取り組みが開始される。
写真-11 学校開放事業(プール)