声楽家が集まって二期会札幌分室(現北海道二期会)が生まれたのは昭和三十九年である。九月に道新ホールで披露演奏会を開いた。この年四月に誕生した札幌大谷短大音楽科で同僚となった相原宗和(翌年藤女子大に戻った)と池上恵三、翌年大谷短大に加わった宍戸悟郎らが活動をリードした。
二期会は、歌曲コンサート、新進声楽家の夕べ、オペラ公演を開いていった。本格的なオペラ活動の最初のものは、四十二年五月十八日に市民会館で上演したモーツァルト「フィガロの結婚」である。主役級には東京から立川清登、曽我栄子らを迎えての上演だった。管弦楽は森正指揮の札響で、こうした舞台の実現にも札響の存在は大きかった。
続いては年一回のペースで、モーツァルト「バスティアンとバスティエンヌ」、メノッティ「泥棒とオールドミス」など室内オペラを上演していった。そこには札幌オペラ研究会でも中心的な存在だった伊藤壱朗、安斎奈々見らの活躍があった。