昭和六十三年三月、「札幌市基本構想」をもとに第三次長期総合計画(以下第三次長総)が策定された。目標年次昭和八十年での人口を二〇〇万人と想定している。
まちづくりの方向は、基本構想と同じく、①世界に結ぶ、②北の都市機能を創造する、③先駆的な実験を継続する、の三つとされ、基本課題として①北の風土特性を生かす、②国際性を高める、③産業の競争力を高める、④生活の快適性を高める、⑤伸びやかな札幌人をはぐくむ、の五点があげられた。部門別計画は都市空間、交通、産業振興、生活環境、生涯教育、生涯福祉の六分野ごとに立てられている。計画推進の留意点として、①市民参加のまちづくりの推進、②行政と民間のパートナーシップの推進、③効果的行財政運営の推進、④国・道・近隣市町村等との連携、の四点があげられた(第三次札幌市長期総合計画)。
以前の長期総合計画と比べた第三次長総の特徴の一つは、「事業展開の複合化」をうたったことである。多様な市民ニーズや社会の複雑化に柔軟に対応するためには、民間事業も含めた多様な施策・事業を「総合的な視点から組み合わせ、複合的な事業として展開する」必要があり、それによって人的資金的基盤の強化、公共投資の重点化、民間活力の導入、地域経済への波及効果拡大が図られるとされた。市行政も事業部局間の連携・協力、調査研究機能と政策立案機能の強化、横断的組織編成などを図る必要があるとされた。こうした重点的かつ有機的な施策・事業の展開方式を「札幌二一世紀プログラム」と呼んだ。
二つ目の特徴は、「都市経営的な視点にたった効果的な行財政運営」の推進をうたったことである。今回の長総に行政改革の推進が初めて明示的に書き込まれた。
行政と民間の役割分担とパートナーシップの推進が掲げられたことも新しいことであった。第三セクター方式の導入、土地信託制度の活用、産学官の連携、文化・教育・福祉などの分野での地域ボランティアによる社会サービスの提供など、広く民間活力の発揮が期待された。また、広報・広聴制度の充実の他に、市民参加を基礎とした問題解決システムづくりや情報提供施策の拡充など、市民参加や情報公開も掲げられていた。