地方交付税は、市の財政運営の自主性を損なわずに財源の均等化を図り、しかも全国の地方自治体と同等の行政サービスを提供するために、国税のうち所得税、法人税、酒税、消費税などの一定の割合を国が交付する税である。またその算定基準は、基準財政需要額(合理的かつ妥当な水準で行政を行う財政需要を算定するもので、単位費用×測定単位×寒冷地補正などの補正係数という算式で算定)から基準財政収入額(標準的な地方税収入×〇・七五+地方贈与税等)を差し引いた差額である。いいかえれば地方交付税は地方自治体の一般的な財源不足額を基本に交付されることになる。
最初に表1によって歳入全体に占める交付税の地位を確認しておくと、その総額は一三〇億円から一三四〇億円へとほぼ一〇倍に増加した。また対前年度伸び率を見ると、昭和五十一~五十四年度に約二〇~三〇パーセントもの伸長で特異な増加率を示すが、それ以外の年度では概して対前年度で数パーセントの増減である。
歳入全体に占める比率は、市税収入が伸びた昭和五十年度までは逆に下降し、その後前述した急上昇のあと平成八年度頃まで二〇年近く一五パーセントの線をはさんで上下した後、平成九年度から市税の下降とは反対に顕著な上昇を見せている。しかし十三年度からは再度下降し、特に平成十五年度の対前年度比率は七八という異例の数値を記録している。
札幌市の場合、表1のように、交付税の歳入に占める割合は一五~二〇パーセント程度であるが、この数値は他の政令市と比較して格段に高いのが特徴的である。例えば、昭和五十二年度から平成十四年度まで平均した各政令市の普通会計(一般会計と一部の特別会計を合算した会計区分)の歳入に占める交付税の比率を決算ベースで比較すると、仙台五・三、千葉〇・八、川崎一・三、横浜四・八、名古屋三・〇、京都一二・五、大阪二・二、神戸八・四、広島七・二、北九州一五・二、福岡一〇・八(仙台と千葉は昭和五十八年度から政令市に移行)に対して、札幌は一五・五である。しかも札幌の同比率は、昭和五十九年度までこれらの政令市の中で首位を維持し、その後平成九年度までは北九州市に次いで第二位となるが、十一年度に再度首位となる(札幌市財政統計 平10、および市財政課の作成資料による)。