昭和五十年代に札幌には八つの
工業団地が存在した。分譲開始は
発寒鉄工団地、
発寒鉄工関連団地、
発寒木工団地、
丘珠鉄工団地が三十八年、
手稲工業団地が四十三年、発寒地区第二
工業団地、
厚別地区軽工業団地が四十九年、
東苗穂工業団地が五十三年である。
工業団地の概要を表9にまとめた。発寒地区には、
発寒鉄工団地、
発寒鉄工関連団地、
発寒地区第2工業団地が隣接して開発され、これら三つで一三一万平方メートルにも達する。市内
工業団地の企業総数は三〇〇余、従業員総数は八〇〇〇~九〇〇〇人であり、一企業あたり平均二四~二五人の規模である。五十九年の
工業団地企業数三八八は、前年五十八年の市内工場数二三〇三の一六・八パーセントに該当する。
工業団地名 | 面積(m2) | 入居企業数 | 総従業員数 |
昭51 | 昭51 | 昭59 | 昭51 | 昭59 |
発寒鉄工団地 | 806,923 | 63 | 70 | 2,450 | 2,653 |
発寒鉄工関連団地 | 390,761 | 92 | 93 | 1,650 | 1,615 |
発寒木工団地 | 178,258 | 32 | 29 | 1,050 | 899 |
手稲工業団地 | 323,773 | 55 | 56 | 1,250 | 1,180 |
丘珠鉄工団地 | 532,710 | 40 | 42 | 1,000 | 1,135 |
東苗穂工業団地 | 45,369 | 30 | 30 | 350 | 450 |
発寒地区第2工業団地 | 114,217 | 26 | 41 | 450 | 950 |
厚別地区軽工業団地 | 101,809 | 18 | 27 | 400 | 850 |
合計 | 2,493,820 | 356 | 388 | 8,600 | 9,732 |
それぞれの
工業団地の業種的特徴を表10にまとめた。表中の業種分類は、原資料の記載のままにしており、本節の表7の分類とは一致しない。
発寒鉄工団地は、「建設用・建築用金属製品」、「一般産業用機械・装置」が多いが、他の
工業団地にないもの(横の市内
工業団地合計にしめる割合が高いもの)として、「金属研磨・塗装・鍍金・熱処理」や「金属・非鉄金属製品」などの金属関係にも特徴がある。これに対して
発寒鉄工関連団地は、業種構成が多様で、そのなかでも自動車関連業、卸売業などの多さが目立ち、製造業以外の業種をもつことが特徴である。
発寒木工団地はその名のとおり家具、建具、製材等に集中している。
手稲工業団地は、重化学工業から軽工業、卸売業、土木建築業まできわめて広範囲にわたっていることが特徴だが、その他の特徴として「印刷・同関連業・製版」が市内
工業団地合計の半数をしめていることが指摘できる。
丘珠鉄工団地は、「一般産業用機械・装置」、「金属・非鉄金属製品」、「建設用・建築用金属製品」に偏り、
東苗穂工業団地は、「一般産業用機械・装置」、「その他の機械・同部品」に偏っている。発寒地区第二
工業団地は、
発寒鉄工団地と類似した構成を示すが、「印刷・同関連業・製版」も多い。
厚別地区軽工業団地は、「食料品」、「建具」など札幌の代表的な軽工業業種をもっている。右の市内
工業団地合計欄の重化学工業比率(上から八項目のうち「自動車関連業」を除いたものの比率)は五三・四パーセントとなり、軽工業中心の札幌にあってはきわめて重化学工業比率が高いといえるだろう。
業種 | 発寒鉄工団地 | 発寒鉄工関連団地 | 発寒木工団地 | 手稲工業団地 | 丘珠鉄工団地 | 東苗穂工業団地 | 発寒地区第2工業団地 | 厚別地区軽工業団地 | 合計 |
建設用・建築用金属製品製造業 | 23 | 12 | | 3 | 8 | 1 | 10 | | 57 |
一般産業用機械・装置製造業(金属加工・建設・鉱山・農業等) | 23 | 6 | | 7 | 12 | 17 | 5 | | 70 |
その他の機械・同部品製造業 | 2 | 2 | | | 2 | 7 | 6 | | 19 |
金属研磨・塗装・鍍金・熱処理業 | 7 | 4 | | | 1 | 1 | 1 | | 14 |
銑鉄鋳物・製鋼・鍛鋼等製造業 | 4 | 2 | | | 5 | 1 | | | 12 |
金属・非鉄金属製品製造業(金物類・暖房装置・配管付属品等) | 12 | 5 | | 4 | 11 | 5 | 7 | | 44 |
自動車関連業(販売・整備・付属品製造・運送・タクシー等) | 3 | 21 | | 3 | | 1 | 1 | 3 | 32 |
化学工業製品・セメント・同製品製造業 | | 6 | | 3 | | | | | 9 |
家具・整備製品製造業 | 2 | 1 | 17 | 5 | | | 3 | 2 | 32 |
建具製造業 | | | 11 | 3 | | | 1 | 8 | 23 |
製材業・建築用組立材料・木製品製造業 | | 1 | 6 | 4 | 1 | | | | 12 |
食料品製造業 | | 1 | | 6 | | | | 11 | 18 |
印刷・同関連業・製版製造業 | | | | 7 | | | 6 | 1 | 14 |
卸売業(鉱物・金属材料・機械器具・化学製品等) | 3 | 19 | | 3 | 4 | 1 | | | 30 |
一般土木建築業・その他設備工業 | 8 | 10 | | 2 | 1 | | 3 | 1 | 25 |
その他 | 1 | 2 | | 2 | 1 | 1 | 2 | 1 | 10 |
合計 | 88 | 92 | 34 | 52 | 46 | 35 | 45 | 27 | 421 |
次に昭和五十二年のデータにより
工業団地企業の資本金規模をまとめた表11をみてみよう。まず、下の
工業団地合計欄の傾向をみると、もっとも多いのは一〇〇〇万円未満層で四二・一パーセントをしめている。この層を含め、資本金の小さい層ほど工場数が多く、三〇〇〇万円未満層(左から三つまでの層)の合計は七三・七パーセントに達する。札幌の
工業団地は中小企業により成り立っていることが確認できる。それぞれの
工業団地についてみると、一〇〇〇万円未満層が過半をしめる発寒地区第二、東苗穂、厚別地区軽工業などが特に小規模企業が多いといえるだろう。他方、一億円以上企業もいくつか存在している。
札幌市『札幌市の工業団地』昭52の企業名簿より集計。 1 1千万円未満には資本金なしの個人企業も含む。 |