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官依存からの脱却

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 建設業、とりわけ土木分野は公共事業依存が強かった。政府予算が拡大基調にあるときには、業界も順調な発展が見込めるが、財政緊縮に際してはその影響が直撃する。昭和五十八年七月に北海道建設業協会が財団法人・建設経済研究所に研究を委託した「北海道建設業の長期展望」の報告書がまとめられた。同報告書は、官公需依存の高さを問題とし、地域需要掘り起こしの必要を提唱した。具体的には施設農業、海洋牧場など第一次産業はじめ地域開発の可能性が大きいとし(道新 昭58・7・30)、これを「受注型」から「需要開発型」へという言葉で表現している(道新 昭58・8・10)。これを受けて北海道建設業協会では、特別委員会を設けるなど具体化に向けて動き出したが、協会自身、二月に公共投資の増額を主張するパンフレットを作成し関係方面に配布していた。一方で公共事業費の増額を訴えながら、他方では地域開発の需要創出に努めるというのがありうる方向性であった。バブル経済の時期にカブトデコムのように急成長する建設会社があらわれたのも「需要開発型」とみなしてよいだろう。ただし、バブル崩壊により需要開発の限界が明らかになり、他方では公共事業費は削減の方向となった。建設業の発展方策については低成長期以来の議論の蓄積を振り返る必要があるだろう。