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婦人相談窓口からみた相談内容の変貌

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 婦人相談員は当初全市で六人が配置された。その後平成十年保健福祉局児童家庭部所管となり、母子相談員婦人相談員とが兼任して、母子・婦人相談員が全市で一八人配置された。中央区の母子・婦人相談の窓口には二人の相談員が配置され、全区のなかでももっとも相談件数が多い。特に薄野地区を抱えている関係から、一〇代~二〇代の若い女性からの相談が多くなっている。
 札幌市の婦人相談窓口での取り扱う内容も変化してきている。この表42に示した数の中には夫からの暴力なども多く含まれるようになった。例えば十年の場合、処理件数二八七七件のうち、二六〇件が「夫、恋人から暴力を受けた」といった相談であり、十一年四~九月の半年間で婦人相談一五一八件のうち一六〇件が暴力の相談というデータが公表された。原因の分析によれば、①性格的なもの一〇八件、②酒乱二二件、③精神障がいなどによる病気一二件など、となっていた(道新 平10・10・29)。この数字について、市男女共同参画課では、「暴力を振るう男性がふえたのではなく、女性や社会の意識が変わり、これまでは隠れがちだった家庭内の暴力が顕在化するようになった」だけ、とみる。従来の目的である相談件数自体は減少傾向にあるものの、暴力がからむ相談のために窓口を訪れ、隠さず話せる環境作りが整ってきたのも確かである。婦人保護は、家庭内暴力から女性を保護するといった新たな局面を迎えた。このため、婦人相談員は、夫や恋人からの暴力に関する相談が多くなっていることから、定期的に女性への暴力問題についての研修会に出席したり、具体的な相談事例などに基づいた勉強会の機会を設けている。

写真-9 市婦人相談窓口に寄せられた暴力問題を報じる新聞記事
『道新』(平11.10.29)より。