図-4 札幌市の消費者物価指数の推移(平成12年=100)
『札幌市統計書』より作成。
この間に、平成五年に一〇〇年に一度といわれるほどの不作となった米生産は、国内米だけでは需要を満たさないためにタイ米などの輸入米に頼ることになった。「店頭には米がない」「価格が高騰した」との苦情が市消費者センターへ寄せられ、巷間では「平成米騒動」と呼ばれた。米は六年三月から表12の価格で販売された。国産米は四月から高騰し、六月には五キログラム一袋が四四〇二円になった。外国産米は単品では売れないうえに国産米価格を吊り上げるとの理由から、外国産米と国産米とのセット販売がなされたが、八月に国産米単品価格が低下したため廃止された。十月には新米が出回り価格も下がり安定したため、外国産米の店頭販売は十一月以降には姿を消した。タイ米は澱粉質が少なく食味に慣れないこともあり、不人気なために、「美味しく食べるタイ米」料理講習会も開かれた。「平成米騒動」では、「食生活の見直しや米の買いだめをやめ、さらに外国に対する偏見をなくしたい」(暮らしのニュース NO.325)という女性も多かった。
表-12 「平成米騒動」時の札幌市内米平均価格(5kg入り1袋) | (単位:円) |
平成 6年 | 国産米 | 外国産米 | 国産・外国産ブレンド米 | 国産・外国産セット販売 |
3月 | 3,458 | 2,146 | ― | ― |
4月 | 4,431 | 1,932 | 2,595 | 2,656 |
5月 | 4,539 | 1,935 | 2,525 | 2,670 |
6月 | 4,402 | 2,003 | 2,576 | 2,670 |
7月 | 3,892 | 1,819 | 2,513 | 2,628 |
8月 | 3,150 | 1,842 | 2,445 | 2,282 |
9月 | 2,517 | 1,560 | 2,037 | 2,438 |
10月 | 2,808 | 1,779 | 2,149 | ― |
11月 | 2,533 | ― | ― | ― |
『消費者行政事業概要』平7年度より作成。 |
写真-3 輸入米の本格流通前に店頭から姿を消した国産米(道新 平6.3.1)
これらの消費者物価指数をはじき出す指定品目は、表13のように時代に応じて変化した。高度経済成長期に家電製品が普及するとマッチやわら半紙、ラジオ聴取料が消え、平成二年はワープロ、ハンバーガー、レンタルビデオ代が追加され、石炭やレコードが消えた。七年にはカラオケルーム代、十二年にはパソコン、携帯電話代、牛どん、温水洗浄便座が追加され、珠算塾月謝、扇風機、さけ缶詰が姿を消した。これらの物資の変遷は、戦後の生活史を物語っている。
表-13 消費者物価指数の主な商品の改廃(昭和35年~平成12年) |
主な追加商品 | 主な廃止商品 | |
昭35 (1960) | テレビ(白黒)、電気冷蔵庫、電気アイロン、家賃(公営) | マッチ、わら半紙 |
40 (1965) | 電気掃除機、乗用車、即席ラーメン、バナナ | ラジオ聴取料、うずら豆、駆虫剤 |
45 (1970) | コーラ、テレビ(カラー)、ボーリング代 | 学生帽、ズボン下、かんぴょう |
50 (1975) | ステレオ、学習塾月謝、ガス湯沸かし器、テニスラケット | 鯨肉、合成清酒、足踏み式ミシン |
55 (1980) | 電子レンジ、輸入牛肉、ゴルフクラブ | テレビ(白黒)、電報料、削り節 |
60 (1985) | エアコン、ビデオレコーダー、下水道料金 | 甘納豆、れん炭、運送料(鉄道) |
平2 (1990) | ワープロ、レンタルビデオ代、ハンバーガー | 石炭、レコード、かりんとう |
7 (1995) | 宅配ピザ、テレビゲーム機、カラオケルーム代 | 魚肉ソーセージ、コンビーフ缶詰、クレンザー |
12 (2000) | パソコン、サッカーボール、携帯電話代、発泡酒、牛どん、温水洗浄便座 | 珠算塾月謝、軟式野球ボール、扇風機、さけ缶詰 |
『道新』(平13.10.2)より作成。 |