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成人教育の広がり

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 戦後の社会教育の中で成人学校の果たした役割は極めて大きく、高い学習意欲を持った多くの市民が成人学校に結集した。その盛況ぶりは昭和四十年代いっぱい続いたが、一時期七〇〇〇人を超えた受講者数も、表6に示したように五十年代に入ると漸減の傾向を示して三〇〇〇人台となり、さらに六十年代から平成時代にはいると、一〇〇〇人台に減少する。しかし、このことは社会教育における成人学校の後退を必ずしも意味するものではない。
表-6 成人学校の推移
年度開設期数
(期)
科目数
(科目)
受講者数
(人)
昭4851536,439
 533903,482
 583953,539
 632371,126
平 42301,024
  82301,197
 112301,199
札幌市教委『成人学校40年のあゆみ』(平4)、同『札幌の社会教育』、同『生涯学習部事業報告』によって作成。

 昭和四十年代以降、高校進学率が全国的に上昇して九割を超えるという事態の中で教養講座的な社会教育がその相対的な役割を低めてきたことは否めないが、教養講座を軸とするそれまでの成人講座が住民の新たな学習要求に呼応して広がりを見せ始めたことにも注目しなければならない。
 札幌市では四十七年に政令指定都市となり、区制が敷かれたことに伴い、これまでの全市を範囲とする成人学校と並行して区成人講座(区民講座)が各区で相次いで開設されたことに、その動向が端的に示されている。表7に示したように五十年代から六十年代にかけては、受講者も六〇〇〇人を超えており、講座の内容も区ごとに特徴ある内容となっている。その中で講座の内容も一層の広がりを示している。さらにこの中から五十九年度に開設された成人学校特別講座(さっぽろシティ・セミナー)や平成九年度に開設された札幌市リカレント講座などに生涯学習に向けた模索の動きを読みとることもできる。昭和二十六年以来継続して実施された成人学校は、このような経過を辿る中で平成十一年度で終了した。発足以来の期数は実に一七三期に達し、開設以来の受講者総数も約一九万九〇〇〇人に達した。
表-7 区民(区成人)講座の推移(単位:人)
中央白石厚別豊平西手稲合計
年度科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数科目数受講者数
昭48561,6781963714474892,789
 52481,500341,214251,019431,3601505,093
 56259332491528715351,0543577932936421,3342216,666
 60351,2363295140944381,0213071426665421,1172436,648
平 115600164801229410191425114370206142148982091303,497
  41246511313182931328612371133531952422641215311413,782
  8132921120716257121981327415315814810191214891192,371
札幌市教委『札幌市の社会教育』各年度版によって作成。

 さらに時代の要請に応える成人教育の新たな動きとして、これまで社会教育行政を中心に進められてきた成人講座に加えて、後述するように民間カルチャーセンターや大学公開講座が急速に広がりを見せてきたことも注目される。