「新札幌市長期総合計画第二次五年計画(昭55~59)」により、市の体育施設が拡充され、市民スポーツの拠点として学校開放や地域体育振興会等の設立がなされていった。しかし、新規区体育館や学校開放の一定の前進は、施設管理面での課題を伴っていた。札幌市は昭和五十五年度以降新設された体育施設について(財)札幌市体育連盟(以下札体連)に管理を委託した。ただし、施設管理を受託した札体連は、国民体育大会(平1開催)を控えていた。加えて、区体育館の増設、学校開放施設数の増大による管理業務の増大は、施設管理主体の一元化を必要とするまでになっていた。
(財)札幌市スポーツ振興事業団(以下、事業団)は、区体育館、地域の学校開放を体系的に管理運営する団体として五十九年四月に設立された。事業団設立にあたっては、五十九年度札幌市一般会計から出えん金として二〇〇〇万円が支出された。事業団は、「札幌市における体育スポーツの普及振興のために必要な事業を行うとともに札幌市の設置する体育施設の管理運営に関する事業を行い、もって本道における体育スポーツの振興に寄与することを目的」(事業団「寄附行為」)としている。
事業は、施設管理を中心に、スポーツ行事・教室、情報の提供等がなされている。とくに区体育館・プールの管理運営や学校開放事業を一元的に管轄している点で、市民スポーツとの結びつきは深い。施設面では、平成四年度より学校開放が有料化(体育館、格技室)されたが、十年にはスポーツ施設予約情報システムの運用が開始されるなど、市民スポーツの利便性も追求されてきている。事業面では、札幌マラソン大会や札幌国際スキーマラソンなど、市を代表するスポーツイベントの実施運営にあたっている。情報提供では、設立以来広報誌の発行(『スポーツライフSSPC』)や、「スポーツダイヤル札幌」が設置される(平9まで)など、市民のスポーツニーズに応える体制がとられている。これら市民スポーツサービスの質的向上と事業価値の創造が事業団の柱である。