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ジャンルの越境と朗読パフォーマンス

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 六十年代は「ジャンルの越境」がキーワードの一つであり、六十三年一月三十日には、北海道会館でシンポジウム「スクランブル'88 ジャンルの越境・ジャンルの侵犯」が行われた。笠井嗣夫高橋秀明(現代詩)、近藤潤一佐佐木宏(俳句)、高橋愁佐藤博(短歌)らが、詩型を超えて詩精神の根拠を確認しあい、同年二月二~五日、北海道新聞夕刊に各ジャンルからの報告記も掲載された。
 また、詩歌と他の芸術ジャンル(音楽、映像、演劇等)との共同製作の試みも盛んになった。基点は詩の朗読活動であり、五十二年に北海道詩人協会とNHK札幌放送局共催で第一回「全道朗読のための詩作品コンクール」が開催され、以後毎年続いている。朗読にパフォーマンス性を加味した「吟遊詩人大賞コンテスト」も平成九年から始まった。六十年代には中央区の中森花器店やフリースペース竹林精舎(ちくりんしょうじゃ)を舞台に、朗読やライブ、現代アート展示などジャンルを超えたさまざまなイベントが実施されたが、年に一回、詩人の忠海光朔(ちゅうかいこうさく)と東京在住のフォーク歌手の三上寛が詩と歌によるツアー「ライブ・イン・ピリカモシリ」(平成三年から。忠海は十六年に死去)を開催したのもその一例であった。
 五年創刊の季刊誌『credo(クレド)』は、ジャンルの越境の集約的な場といえる。小説・詩・評論・美術・映画・演劇・思想史などで活躍する若手に、平原一良編集人が執筆を依頼し、四号の匠秀夫(たくみひでお)追悼特集、五号(八年、同号で休刊)の和田徹三特集など、充実した誌面を見せた。