劇団さっぽろを六十一年に退団してフリーになった演出家・鈴木喜三夫は、演劇制作体・鈴木喜三夫+芝居の仲間を結成、『ラヴ』『早春スケッチブック』などを上演し個人としてのプロデュース公演をすすめる。平成元年には、昭和六十三年オープンの札幌・二つ目のこどもの劇場・やまびこ座と新聞『おしゃべりからす』を発行する共育舎と共に、児童劇『森は生きている』をプロデュースした。それをきっかけに、やまびこ座では児童劇のプロデュース公演を平成四年から開始し、現在も続く。
ほかに弁護士グループがプロデュースする憲法劇や、宗教団体の「おばあちゃんシリーズ」や『金冠のイエス』、教員の労働組合による「教研劇」など多彩だ。異色は大都会では難しいといわれる市民参加劇『今も聞こえる藻岩の叫び』が、札幌郷土を掘る会などによって平成四年に創られた。しかし、演劇活動の本流はあくまで劇団による上演活動で、プロデュース公演がそれに取って代わることはないといえるのではないか。