一九七〇年代(昭和四十五~五十四)、札幌市は一〇〇万都市となり、全国の中でまた北海道の中での地位をいっそう重要なものとした。昭和四十五年から平成十二年(二〇〇〇)までの間に、札幌市は人口を八一万人増やし道内人口に占める割合を一九・五パーセントから三二・一パーセントに押し上げた。この間、プロテスタント教会で最も教会数が多く全道に所属教会を展開している
日本基督教団を例にとると、表6のとおり、北海教区の中で札幌市内の教会が占める割合が、教会員数(教会の実勢に最も近いといわれる現住陪餐(げんじゅうばいさん)会員数)で三四パーセントから四四・二パーセント、日曜朝礼拝数でも三六・一パーセントから四四・七パーセントを占めるようになっている。札幌への人口集中と道内人口での札幌の比重増大と同様の傾向を、同教団の数値が示している。また、同教団に限らず、札幌の教会は道内外からの教会員移動を吸収する役割を果たしていた。
区分 | 教会数 | 教会員数 | 日曜朝礼拝出席者数 | | 人口 |
A) 北海教区 | a) 1970年 | 62 | 3,355人 | 1,705人 | A) 北海道 | 5,184千人 |
b) 2000年 | 65 | 3,113 | 2,096 | 5,683 |
B) 札幌地区 (北広島市域を除く) | a) 1970年 | 13 | 1,142人 | 615人 | B) 札幌市 | 1,010千人 |
b) 2000年 | 17 | 1,377 | 937 | 1,822 |
B/A(%) | 1970年 | ― | 34.0% | 36.1% | B/A(%) | 19.5% |
2000年 | ― | 44.2 | 44.7 | 32.1 |
『日本基督教団年鑑』1971年版、2001年版など。「教会員数」は、現住陪餐会員数を示す。 |
次に札幌市内全体のキリスト教会および教会員(一部、教職者を含む)数を見よう。平成十五年(二〇〇三)十二月末現在で札幌の教会数を可能な限り把握した結果、表7のとおり一六〇教会であった。昭和六十二年(一九八七)刊のさっぽろ文庫『
札幌とキリスト教』に掲載の教会数は一一九教会であったが、このときの調査漏れもあり、それを追加すると当時は一二七教会が存在していたと考えられる。その後廃止となった教会、また集会所であって平成十五年時点では教会として挙げなかったところもあって、差引くと一六〇教会となる。このうち四六教会は、昭和六十三年以降の一六年間に設立されている。
表-7 札幌市内の教会・教会員(教職者を含む)数(2003年12月末) |
区分 | 教会数 | 左の内、1987年5月以降設立の教会数 | 教会員数 | 1987年4月までに存在した教会数 |
プロテスタント教会 | 141 | 45 | 13,543 | 109 |
カトリック教会 | 9 | 0 | 7,382 | 9 |
ハリストス正教会 | 1 | 0 | ― | 1 |
その他の教団 | 9 | 1 | ― | 8 |
合計 | 160 | 46 | 20,925 | 127 |
『キリスト教年鑑』2004年版、札幌市教育委員会文化資料室ほか筆者の独自の調査、『札幌とキリスト教』(1987年刊)など。教会員数は、同年鑑に掲載された137教会の数値を集計したもの(「―」としたものなど、同年鑑に教会員数を掲げていない教会もある)。 |
教会員数は、『
キリスト教年鑑』二〇〇四年版に掲載されている各教会の教会員数を集計すると、
カトリックとプロテスタントを合わせて二万九六一人、札幌の人口の一・一三パーセントとなり、前掲の日本の総人口に対するキリスト教徒の割合〇・九パーセント弱よりも上回っている。もっとも同年鑑に教会員数を挙げている市内の教会は一三七にとどまっているから、実数はこれより多くなる。ただ、二万人強の中には道央イエス之御霊(みたま)教会の三九七五人を含んでいるから、これを過大として控除するならば対人口比は〇・九二パーセントにとどまり、ほぼ全国並みとなる。
なお、教会・教会員数がすでに表7で明らかな
カトリックと前述の
日本基督教団、イエス之御霊教会教団以外で、札幌市内に五〇〇人以上の教会員数を擁する教団は、
日本キリスト教会一二〇一人(七教会。以下、『
キリスト教年鑑』に教会員数を掲げた教会のみの集計値)、
日本聖公会一〇〇八人(五教会)、
日本福音キリスト教会連合八四六人(一五教会)、
日本バプテスト連盟六九三人(七教会)、日本福音ルーテル教会五五一人(三教会)となっている(以上の数値は、『
キリスト教年鑑』二〇〇四年版による。教会員の定義、統計上の処理は各教団によって異なる)。