伊藤先生よりの御通信
(4月27日着)
拝啓不肖(ふしょう:自分の謙称)在校中は一方ならぬ御親切に預り深く感謝の至りに御座候(ござそうろう:ございます)。出発に際し盛大なる送別会を開催せられ難有(ありがたく)御礼申上候(そうろう:51)。且つ実習中定めし御疲労にも拘はらず、停車場迄も御見送り被下(くだされ)芳情感銘いたし候。来る5月8日敦賀(つるが:福井県にある港湾都市)出帆し大坂商船会社汽船にて渡航の事に相定め申候。折角(せっかく:十分気をつけて)御自愛御自重(じちょう:注52)益(ますます)御勉励あん事を切望いたし申候。何(いず)れ着の上は消息(しょうそく:手紙)いたし可申(もうすべく)候。先(まず)は右御礼迄(まで)草々。
4月26日 伊 藤 門 次(注53)