四季花鳥図

四季花鳥図


四季花鳥図(しきかちょうず)     [目録を見る]   [ 宝物解説へ ]
 本作は、一見、写生を基本にわかりやすく装飾的な画風で世にもてはやされた円山四条派と見まがう。春は、満開の桜のもとに、草を食む馬の群れ。夏は夾竹桃かとみられる植物のもとに雄鶏、雌鶏とひよこ3羽。秋は、朝顔、萩に集(すだ)く虫たち。冬は、枯れ芦に降りる雁3羽によって表わされている。金雲に金砂子蒔きの上に、朱、浅黄色の水、朝顔の群青に、雁の羽の強い黒などの鮮やかな色彩を用いた華麗な衝立である。衝立下部の木彫の細かさや金具の繊細さにも見所がある。
 作者の横山華渓(1816~64)は、越中岩瀬浜出身と伝えられる岸駒(がんく)(1749または56~1838)の門人・横山華山(1781または84~1837)の子である。名は信平、号は嵐山。通称名は主馬之助。京都の文化人名鑑とも言うべき『平安人物志』の天保9年(1838)版と嘉永5年(1852)版にも収録されている人物である。

(高田克宏)


【参考文献】特別展『とやまの寺宝-花鳥山水 お寺に秘された絵画たち-』富山市佐藤記念美術館,平成26年(2014)