沢瀉菊桐紋散し状箱

沢瀉菊桐紋散し状箱


沢瀉菊桐紋散し状箱(おもだかきくきりもんちらしじょうばこ)     [目録を見る]   [ 宝物解説へ ]
 状箱とは文箱(ふばこ)ともいい、書状や書類を運んだり、それらを収納しておいたりする箱のことである。室町時代から大名婚礼調度に組み込まれ、色紙箱や短冊箱とともに厨子棚に飾られた。
 本資料は隅丸、被せ蓋の細長い箱体で、濃金梨地の上に金銀の薄板で成形する平文(ひょうもん)(金具)と、境界を溝線で現わす書割を施した菊紋、桐紋、沢瀉紋を華麗に配置し、研ぎ出し蒔絵で仕上げている。貴人の調度にふさわしい上品な作である。
 いつ、どのようにして勝興寺に招来したかは、資料がないため不明。技法的には室町蒔絵の伝統様式を伝えているが、桐紋の形に桃山時代的な華やかさがある。