菊水葵紋散し蒔絵薬箱(きくすいあおいもんちらしまきえくすりばこ)
[目録を見る] [ 宝物解説へ ] 大名婚礼調度では、厨子棚・黒棚・書棚を合わせて「三棚(さんたな)」といい、これに化粧道具や書物、そして薬箱などが飾られる。薬器は室町時代には大陸渡来の唐物が尊ばれたが、江戸時代に入ると、本資料のように金銀蒔絵仕立ての洗練された和風に進化する。箱の全面を雲梨地で覆い、その上に金銀高蒔絵、同平蒔絵の菊唐草文に大ぶりの葵紋を配し、洗練された華やかさを持っている。
本資料も関白鷹司家の娘で勝興寺第20代住職・本成に嫁した広悟(?~1867)の持参品で、入輿の際に徳川家から贈られたものと伝わる。