牡丹唐草葵紋蒔絵香盆(ぼたんからくさあおいもんまきえこうぼん)
[目録を見る] [ 宝物解説へ ] 近世初期の大名婚礼調度の代表といわれる徳川美術館の初音蒔絵婚礼調度を始め、近世の主な大名婚礼調度の厨子棚に同種の香盆が飾られている。厨子棚の中の違い棚に蒔絵盆、聞香炉。三重香箱、香匙立を一組とする香盆を載せることは、江戸時代を通じて大名婚礼調度の定型であったようだ。
この香盆は濃い金梨地に金銀薄肉高蒔絵で牡丹花と唐草模様を張り巡らし、大きな円内に葵紋を配したもので豪華で品格が高い。三重香箱、聞香炉にも同様の蒔絵が施されている。香匙立、聞香炉の透かし火屋は銀製である。 この香盆は図柄及び蒔絵技法が、前出の碁盤、将棋盤、双六盤などの葵紋蒔絵三面や菊葵紋散し蒔絵薬箱等と酷似しているので、関白鷹司家から勝興寺本成の室として入輿した広悟の持参品と考えられる。