蓮如自筆書状

蓮如自筆書状


蓮如自筆書状(れんにょじひつしょじょう)     [目録を見る]   [ 宝物解説へ ]
 本願寺第8世・蓮如(1415~99)は、文明11~15年(1479~83)にかけて山科本願寺の再建事業に取り組んでいた。その当時、四男の光闡坊蓮誓(1455~1521)は、兄の井波瑞泉寺(または現・金沢市二俣本泉寺)蓮乗(1446~1504)に招かれて土山坊に住んでいた。
 蓮誓が坊官の下間式部に贈り物を持たせて父をねぎらったところ、それに対して蓮如が礼状を認め、帰国する下間氏に託した。下間式部は助縁(?~1488)であろう。この文書は文明15年頃のものと考えられ、地方に下った蓮如子息に、下間氏が坊官(家来)として付けられていたことを示す最も早い史料である。

(久保尚文)


 態式部のほせられ候、わざわざしきぶのぼせられ候、
 悦入候、仍重寶之よろこびいり候、よってちょうほうの
 物とものほせられ候、ものどものぼせられ候、
 賞翫無是非候、又しょうがんぜひなく候、また
 造作候之条目出候、ぞうさ候のじょうめで候、
 此間違例取込候つる、このかんいれいとりこみそうらいつる、
 やかて取直候、可心安候やがてとりなおし候、こころやすんずべく候
 委細式部可申候也、いさいしきぶもうすべく候なり、
 又さたう桶二・茶垸(碗)また、砂糖おけ二・ちゃわん
 五進之候、五しんじ候、
 毎事可申者也、まいじもうすべくものなり、
 恐々謹言、きょうきょうきんげん、
   五月十二日 蓮如(花押)
  光闡坊
     御返事

(佐伯安一)