解題・説明
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建物の中央に玄関があり、大きく張出した庇(ひさし)の持送りに特徴があります。1階は、玄関ホールを軸とし、ほぼ対称に各室が配置され、玄関土間からの動線は、正面階段ホールと左側応接室の二方向に向かっています。2階の4室は、寝室などのプライベートな部屋で、現在「床の間」が設けられている部屋は、建築当時には「床の間」がなく、6畳の和室となっていました。この手法は、20世紀の初期にアメリカで流行したバンガロースタイルの影響があったものと考えられます。また、屋根にはS字型の瓦が使われ、スパニッシュスタイルの影響も受けています。その他、筋違(すじかい)や太い断面の柱、トラス構造の小屋組など耐震性が考慮された設計がされています。これは、設計者が地震の多いカリフォルニアで留学した経験によるものと思われます。そのおかげで、阪神淡路大震災でも被害を受けることなく、今も建築当時の姿をとどめている、近代洋風住宅としてとても貴重な文化遺産です。
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