昭和36年(1961)年に多摩川で発見された化石は、上総層(かずさそう)群小宮層(ぐんこみやそう)という、今から約200万年前の地層から産出しました。当時は東京の大半も海で、昭島は比較的陸地に近い浅瀬だったと考えられています。
アキシマクジラの化石は、群馬県立自然史博物館・木村敏之氏らの研究によって「コククジラ属の中で最古の化石種であり、これまでに知られていなかった新種のコククジラ類」と判明し、「エスクリクティウス アキシマエンシス」と学名が付与されました。
現在、コククジラ科のクジラは1属1種のみが北太平洋に生息していますが、コククジラ科の化石記録は少なく、進化の道筋は不明な点が多いとされています。このため、アキシマクジラは種の基準となり、今後、クジラ類の進化を研究するうえで極めて重要な化石標本となりました。