解題・説明
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鱅〔タナゴ〕網は十月より二月までを好しとす。その間両三度漁するなり。網使い法は略図面のごとくして、網を立ておよそ十二時間を経てようよう引き寄せ(方言)「ヲンコ」と唱うるものにて掬い取るなり。網長さ千二百尋、海尺三十尋、前張りの長さ五十尋のものを用ゆ。
是ヲ前張網ト云
解説:鱅はコノシロである。コノシロは10月から翌年2月までが漁期で、その間に2回から3回ほど漁を行った。コノシロ網の形状は、イワシの地引網に類似しており、胴部分が短く、目を細かくした麻網からなる袖部分が長かったという。袖網には桐の浮子を短い間隔で取り付け、沈子には長方形の備前焼のものを用いている。網を引き寄せると、地元では「ケンコ」を呼ばれた器具を使って周囲の船から魚をすくい上げる。(愛媛県歴史文化博物館:井上淳)
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