[1 箱館奉行の経済政策-旧制との相剋]

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 箱館が、国際的な開港地となって外国船が随時、出入するようになるという状況をむかえて幕府は、蝦夷地を幕領化、松前城下とその近在を松前藩領として残したが、その他の地域は、すべて幕領とされ、箱館を拠点に、箱館奉行が管轄するところとなった。これらの地域での産業、経済上の管理方針は、国際的な情勢に対応しなければならない事情、蝦夷地経営上の幕府の利害を考えての事情から松前藩政下につづけられて来ていた方針を変更しようとする面と、にもかかわらず、旧制を変えて行くことの困難性(松前藩、場所請負の特権的大商人との利害との衝突など)から旧制が、そのまま維持される面とを持っていた。そして、また、国際的にも、国内的にも変転して行く幕末期の諸条件から、内実的な変質は避け難くすすんで行かざるを得ないという面もみせてくるのである。