取扱方法の文書化

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 銀行との協定、文書の成立が、函館倉庫業という、1つの産業が創成されたことの象徴である。「物品個数記載書式」について一定形式が協定された(『北海道倉庫業』)。
 
      倉庫主ノ責任及ヒ預ケ主ノ心得
一 預リ貨物受渡ハ現形ノ員数ヲ以テス物質ノ善悪量目ハ庫主其責ニ任セス
一 貨物庫入中天災、水火難、強盗、虫喰、鼠喰及ヒ其物質ヨリ生スル損傷又ハ自然ノ欠減等ハ倉庫主其責ニ任セス
一 倉庫責任ハ雨漏紛失又ハ過失等ヨリ生スル損害ハ庫主其責ニ任シ之ヲ弁償スベシ
一 本証書ハ九十日ヲ以テ書換ヘ改正スルモノトス
一 証書表面ノ貨物抵当又ハ質入ヲナサントスルトキハ左ノ欄内記入調印ノ上貨主ノ承諾ヲ得ヘシ、但シ此手続ヲ為サシメスシテ抵当又ハ質入アルモ債権者ニ対シ倉主無関係ノコト
一 質又ハ抵当入主ノ名義記入
一 質又ハ抵当受主ノ名義記入
一 倉庫主ノ名義記入
    物品個数記載書式
一 米穀、俵数ヲ記スルコト、但玄米、白米ヲ区別スルコト
一 食塩、俵数ヲ記スルコト、但莚包裸俵等ノ大俵又ハ三ツ切ヲ区別スルコト
一 絞粕、俵数ヲ記スルコト
一 干鯣、個数ヲ記スルコト、但シ莚包ハ中身ニ関セス俵装ノ儘縄掛裸ハ何把*ト記スルコト
一 棒鱈、個数ヲ記スルコト、但何束拼トス結束不明ノ分ハ記入セス
一 煎海鼠干鮑、個数ヲ記スルコト、但本品ハ海産物中ノ貴重ナルモノナレハ、場合ニ依テ預リ証ヘ斤量記入ヲ要求スルトキハ倉庫主ハ特ニ貨主債主立会秤量ヲ改メ(凡)ノ文字ヲ用ヒ預リ証書表面ニ記入スルコトアルヘシ
一 鰊鯑、俵数記入ニ限ル
一 長切昆布、束数ヲ記入スルコト、但長切、中切、下切三種ニ区外スルコト
一 折昆布、把数ヲ記スルコト
一 元揃昆布、同
一 手繰昆布、個数ヲ記スルコト
一 身欠鰊、 同

 
 貨物の預り渡し取扱について抜粋して次に要約する。
 
一 預ル時、預リ証書ヲ預主ニ発ス
一 庫敷料ハ、物質ノ良否、価ノ高低ニ均ラス、現品ノ形状ニヨッテ定ム
一 庫敷料ハ、一ヶ月単位、十日ヲ一期トシ、一期以内ハ、一ヶ月三分ノ一、廿日以内ハ三分ノ二、廿日以上ハ三十日ノ割合デ計算
一 倉庫前貸付ハ、ソノ月ノ十五日以前ニ約定済ハ一ヶ月分請求、十五日以後ニ渉ル約定ハ半ヶ月分ノ割合デ蔵敷料請求。但戸前貸ノ期定ハ三ヶ月、六ヶ月、九ヶ月、一ヶ年とし端数ハ貸与セズ
一 貨物庫入証書発行後ハ現品ニ証書番号、品名、員数、貨主ヲ記入ス
一 倉預リ証ハ、庫入全部ヲ証書数枚ニ為スカ又ハ証書改正等ノ場合ハ、全部ノ事由ト旧証書ノ番号モシクハ年月日ヲ新発証書ノ裏面ノ明記ス