さて、明治30年から独立の業種となった函館の倉庫業は、米、雑穀、縄、莚、ワラ製品などの農産物を主として扱うことにおいて、他港の営業倉庫と変りがない。それと並んで、函館特有の乾塩魚(鰊、鮭鱒)とその関連製品、食品、魚粕、魚油および、昆布が主要な扱い商品となっている。その外に、硫黄、石炭をも扱っている。
　30年代の3か年の実績が函館税関でとらえられているが、入庫出庫の開きがほとんどないという好調ぶりを見せている(表5－10)。合計の入庫量をとり出すと、表5－11のようになっている。年々トン数、金額ともに上昇し、33年は、62万トン、1113万円を入庫させている。
　明治40年代の大火にめげず、明治43年には、すでに各社共、十分とはいえないにしても、堅実に利益をあげるまで回復している。弁天倉庫と金森倉庫が、断然、他を抜き離している(表5－12)。表5－13によると、品目によっては、月によって多少の差がある。魚粕など、明らかに、5、6、7月に集中する。長切昆布は、秋が時期である。米は最も扱い高の多い貨物であるが12月～5月に集中的に扱うことになる。米の次に多い塩は、秋から冬に扱う。しかし、その次あたりにランクされる鮭鱒などのように、あまり年間に波動のない品物もある。
 
　表5－10　明治30年代前半の入庫量

　『北海道倉庫業』より
　単位千トン、千円、単位未満は切捨
 
　表5－11　営業倉庫貨物出入数量・金額

 
　表5－12　営業損益

　第8・9回『函館海事局管内航通ニ関スル報告』より
 
　表5－13　明治38年函館区各倉庫月末貨物表

　明治38年『統計年報』(函館商業会議所編)より