武井家煉瓦倉庫 [ボウジョウ] 石崎町 22

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 武井家の先祖は新潟県から青森県に移住し、安永二(一七七三)年には蓬田村で高持百姓だったが、天保飢饉ののち渡道し、明治二十年代以降、石崎で鰯漁場を営んだという。武井家は本家石崎武井家のほか、、茅沼にも鰊漁場を営む分家があり、また積丹・古宇の鰊漁業家田中家とも姻戚関係を持ち、人的・経済的相互援助関係にあった。
 武井家倉庫は、明治十三(一八八〇)年建築の主屋に隣接して、明治三八(一九〇五))年に建設された。昭和四十年代に国道の拡張にともない、正面部分を削ったが、外観は従前のものである。石崎が鰯漁で繁栄した時期の良質な煉瓦造倉庫で、貴重な遺構である。
 個別解説は、銭亀沢編の執筆のための建造物調査によるもので『函館市史』都市・住文化編四章四節の個別解説の続編である。
 調査員 中尾七重、高杉諭吏、沢田彩子、伊藤明子(千葉大学学生)
     金井隆昌(武蔵大学学生)、花岡さえ子(函館市都市建設部)

[武井家煉瓦倉庫]立面図