(4) 豊浦・大澗、女那川地区

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 尻岸内漁業協同組合の所轄地である豊浦・大澗女那川地区を底生生物の調査域とした。調査線は日浦地区と豊浦地区の境界を基点として、大澗漁港にかけて100メートル間隔で1〜15調査線を、女那川漁港から寄貝歌にかけて1〜11調査線を定めた。なお、豊浦・大澗地区の第1線は日浦地区の第12線と重復する。これらの調査線で距岸距離0〜200メートルまでは25メートルピッチ、距岸距離200メートル以上は50メートルピッチでおおむね水深20メートルまでをめどにして生物調査点を設けた。これらの調査地点の大型底生生物と植物の分布状況と現存量を把握するために、スキューバ潜水により方形枠(1×1メートル)を用いて枠内採集し、試料とした。
 調査は昭和59年7月18、19日に全調査線を対象としたが、時化のために浅所の一部は8月6、7日に行った。さらに海藻の現存量の推移を知る目的で、昭和59年10月23、24日と昭和60年2月25〜28日に豊浦・大澗地区の3、8、12線、女那川地区の1、5、10線について同様な枠取り調査を行った。
 ウニ類は殻径、全重量、年令、生殖巣重量を、海藻類は種別に分類して各々の湿重量を測った。なお、マコンブ、ミツイシコンブ、チガイソ、ガゴメ、アナメ、スジメについては個体数を数えるとともに葉長、葉幅、葉重量を測定した。但し、スジメとアナメは枠内で最大長の1個体を、チガイソとガゴメは上位5本を、マコンブとミツイシコンブは全個体について計測した。
 この地区で採集された大型底生動物を表6−7に示すが、これは枠取り調査で採集されたもののみを対象とした。海藻についてみると、緑藻植物6属7種、褐藻植物17属20種、紅藻植物29属35種と被子植物1属1種の合計53属63種であった(表6−8)。
 この他に無節石灰藻としてエゾイシゴロモ、ミヤべオコシ、イシノミモドキ属が分布している。豊浦地区の水深6、10.5メートルの天然石にはミヤべオコシが24.4〜61.2パーセント(平均44.5%)、エゾイシゴロモが3.5〜15.7パーセント(平均9.5%)の被度で着生していた。

表6-7 豊浦・大澗女那川地区に出現した主な大型底生動物


表6-8 豊浦・大澗女那川地区に出現した主な海藻