3、漁業経営科としての10年の歩み

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 恵山高校の沿革については、第2章の各学校の沿革の中で記すが、ここでは同校の創立の趣旨にのっとり、郷土の漁業後継者育成を目指し、漁業経営の実践的学習を積極的に進めた10年余りについて、北海道新聞の記事から拾い記すこととする。
 
 『北海道新聞の報道記事』より
昭和四十五(一九七〇)年七月十二日
 栽培漁業のパイオニアに 尻岸内・恵山高校生たち
 “大幅に実習教育”実態教育にも乗り出す
 ・恵山高校は生徒僅か一〇人のこじんまりとした高校。しかし、その学習は大幅な実習学習など、独特のカラーを打ち出した地域の栽培漁業のパイオニア校!
 
昭和四十五(一九七〇)年八月十六日
 軽量のプラスチック製実習船
 “育てる漁業にひと役”道南で三番目 恵山高試乗会
 ・恵山高校に待望の漁業実習船、栽培実習の他、潜水などの海洋実習にも使われる。道南では、函館水産・戸井高校についで三番目。
 
昭和四十五(一九七〇)年十二月六日
 施設三〇基を投入
 “恵山高でコンブ養殖実験始める”
 ・設置された養殖用のロープは三十基、四人の生徒の他、古武井漁協青年部員六〇人が参加、同校阿部教頭らの指導で掛け声も勇ましくロープを海中に投入。
 
昭和四十六(一九七一)年一月十一日
 〈あしたの道南〉 自然を守るために
 “栽培で宝庫よ再び” 海の後継者は、ザンブ!
 ・1.5トンしかない実習船は激しく揺れ動く、風がビリビリと肌を刺す。津軽海峡の東端、恵山の冬の海は“荒いそ”の名がぴったり……
 
昭和四十六(一九七一)年二月十八日
 “独立校舎を作ろう” 恵山高 応募者ふえ張り切る
 ・昨年、わずか十人でスタートした恵山高校は今春の応募者が約四倍とほぼ定員に近い数字となり、町村理事者・学校側は新校舎建設に乗り出す。
 
昭和四十七(一九七二)年十月十日
 〈海を耕す(七)〉 後継者の育成
 “基礎固めが先決・科学的教育みっちり”
 ・尻岸内山背泊の浜で、ボンベを背負いウェットスーツに身を固めた若者達、二九人の恵山高校生、彼等は全員潜水士の資格保持者だ。
 
昭和四十九(一九七四)年二月一日
 〈高校プロフィル〉
 “今春、一期生巣立つ” 恵山 二年以上が全員潜水士
 ・一万平方メートルの栽培漁業実習場、潮流が激しく不可能といわれていた前浜に、いま彼等はコンブ・ワカメ・ホタテなどの養殖にいどんでいる。
 
昭和四十九(一九七四)年二月六日
 見事!恵山高校のコンブ養殖
 “平均二メートルに成育”張り切る生徒達「成功間違いなしだ」
 ・同町の養殖は漁協でもようやく着手したばかりで、まだまだ改良の余地があるだけに、恵山高の今後の成果が注目されている。
 
昭和四十九(一九七四)年八月二十一日
 夏休み返上で潜水実習 恵山高校の生徒達
 “国家試験に挑戦”二期生、先輩に続けと二三人
 ・同校は栽培漁業に不可欠な潜水士養成というユニークな教育を行っている。47年には28人が挑戦全員が合格、今年受験するのは一・二年生二三人
 
昭和五十(一九七五)年四月十六日
 恵山高校に新実習船
 “さっそく試運転、喜ぶ生徒達”
 ・恵山高に新しい実習船「第五えさん丸」(一・五トン)が完成、磯船に毛の生えたような小さな船だが「これで安心して実習に打ち込める」と生徒達も嬉しそう。
 
昭和五十(一九七五)年六月十八日
 恵山高校生、初の船出
 “開校以来の夢実現”若潮丸に便乗 北洋で実習航海
 ・恵山高校の生徒達は一七日、同町の山背泊漁港から道教育庁の実習船「若潮丸」(一三五トン)で開校以来初めての北洋へ実習航海に旅立った。
 
昭和五十一(一九七六)年四月六日
 恵山高校生、実習航海に旅立つ
 “四年生九人、北洋へ”若潮丸 盛大な見送りを受けて
 ・恵山高校の四年生九名は五日、尻岸内山背泊港より道教育庁の実習船「若潮丸」(一三五トン)で、昨年に引き続き北洋への実習航海へ旅立った。
 
昭和五十一(一九七六)年九月十日
 高卒で見事海外協力隊員に合格 尻岸内の村上さん
 “来春ケニアへ出発” 漁道、漁網の技術指導で 教職員親身の協力
 ・大学卒でも難関の国際協力事業団の海外協力隊員に尻岸内古武井、恵山高校実習助手の村上信一さんが合格、二年間ケニアで漁具漁網の技術指導に当たる。
 
昭和五十二(一九七七)年五月四日
 〈あすの函館圏を考える〉 揺れる高校教育⑬
 “根づいた養殖漁業”実習、授業を通じ理論づけ
 ・在席生徒百六十人足らず。そんな小さな高校に昨年、米国、トルコなど十八ヶ国二二人の外人視察が相次いだ。他に例を見ない実践的な水産教育が、高い評価を受けているからだ。西牟田実校長は「町内で盛んになってきたコンブ・ワカメの養殖化は、本校の学校漁場が先導したのです。生徒が体得した一切を授業で理論整理しその上自家の漁業経営に持ち込んだというわけです」と、その“秘密”を明かす。
 
昭和五十三(一九七八)年十月二十五日
 恵山高校生 ユニークな研究発表へ
 “促成コンブ利用やホタテ採苗の課題”
 ・毎年ユニークな研究発表を行い、漁民から関心を寄せられている尻岸内町の恵山高校で今年も「地域に密着した総合実習」をテーマに研究発表会を実施する。
 
昭和五十三(一九七八)年六月十三日
 恵山高校に開発途上国の研修生
 “ダンスや水産品試食”生徒達と楽しく交流
 ・十二日恵山高校の体育館に明るいメロディーと喚声がわいた。これは開発途上国の青年達と同校の生徒達との沿岸漁業が結んだ国際交流のひとコマだ。
 
昭和五十四(一九七九)年十月十日
 一〇年の歩みを祝う
 “恵山高校で記念式典”
 ・全国でただ一つ、昼間定時制水産高校として開設され、漁業後継者の養成をしてきた町立恵山高校が、八日創立十周年を迎え喜びの記念式典が行われた。