昭和四十六年七月三日、丸山さんの例祭日に参詣した五十四人の信仰者が、丸山明神奉讃会を結成することを申し合わせ、結成発起人十四名を推薦し、会員を募集し、昭和四十七年七月「丸山明神奉讃会」を設立した。
会員募集の趣意書は次の通りである。
丸山明神奉讃会設立趣意書
亀田郡戸井町と旧亀尾村(現函館市)との境界附近に聳(そび)える丸山(標高四〇八米)の山頂に、昔から小祠があり、そこに祀る神を丸山さんと称し、霊験(れいけん)あらたかな神として、近郷近在(きんごうきんざい)の木椎(きこり)、杣夫(そまふ)たちは、山の神として尊崇(そんすう)し、漁師は、海上安全の神、大漁の神として尊崇して来たのである。
戸井町で、鰮(いわし)や鰤(ぶり)の大漁が続いて村が栄えた時代には、毎年の旧五月五日(端午(たんご)の節供)に、数十人の参詣者があり、供物(くもつ)の受け方によって漁の豊凶を占(うらな)ったものである。鰮や鰤がとれなくなってから、参詣者の数は減ったが、信仰者の参詣が連綿(れんめん)として続いていた。
丸山明神の祠の沿革(えんかく)を調べて見ると
① 弁才町の金成(きんせい)の婆さんが、昔からあった祠を再建した。
この時の棟札に
大正元年八月二十二日
丸山座須(います) 大山津見神
大綿津見神
とある。この棟札によると「山の神」と「海の神」を祀っていることがわかるが、信仰者は「丸山の竜神さん」とよんでいる。
② 金成の婆さんの建てた祠が腐朽して、田村重次郎と大江鉄太郎が発起人となり、大工斉藤勝太郎が奉仕して祠を再建したのが昭和二十三年六月九日である。
③ この祠が腐朽して、信仰者久保田キエが願主となり、一人で建築費を負担し、棟梁館山力雄が奉仕して再建したのが、昭和三十四年六月十日である。
④ この祠を昭和四十五年七月に、信仰者久保田キエが、全建築費用五十五万円を一人で負担し、棟梁原田仙蔵、佐藤福太郎等が奉仕し、非常な苦労の末、立派な神祠を再建した。この神祠竣工直後の例祭日には、三十数名の信仰者が参詣した。
今年の例祭は、七月三日であったが、朝から雨が激しく降っていたので、人々は参詣が中止になるのではないかと考えていた。ところが午前八時頃から、車に分乗した参詣者が続々と丸山詣(もう)でに出かけた。
急坂を登って神祠の前に進った参詣者の数は五十四人であった。これは戦後最高の人数である。
晴天の日は、参詣後、社前の広場で直会(なおらい)を催して下山するのであるが、この日はどしゃ降り(・・・・・)の雨のため社前での直会(なおらい)は不可能であった。そこで一同協議の上、宮川神社の社務所を借りて直会をすることにして、下山した。
宮川神社の社務所における直会(なおらい)では
① 丸山さんの信仰者や参詣者が、年々増加しこの度の参詣者は、昔に劣らない人数に達したが、信仰者や参詣者の間には、組織だった連絡がない。
② 丸山さんの沿革でもわかる通り、参道や境内の整備はもちろん、神殿の改築も殆んど僅かの有志や個人の手によってなされて来た。
③ 年に一度の参詣日に集るだけでは、お互いの心のつながりができない。
などという話が出て、期せずして「丸山明神奉讃会」を結成しようという相談がまとまり、この席で不肖我々が、奉讃会結成の発起人に挙げられ、発起人の名において会員を募集し、早期に奉讃会創立総会を開催し、今後の方針、方策(ほうさく)を協議しようということになった。
ここ数年来の丸山明神信仰者、参詣者の増加につれて、参道や境内の整備、駐車場の設置等抜本的な方策を構(こう)ずる必要があり、加えて観光客の参詣者の来山も予想され、将来は函館市、戸井町の観光名所としてクローズアップされることが予想される。
このような観点から「丸山明神奉讃会」の結成は、絶対必要なものとして、この度の参詣者一同の総意に基いて、奉讃会を設立することになったのである。
以上の趣旨に御替同の方は、左記申込書により 月 日までに最寄の発起人に申し込んで下さい。
昭和四十七年 月 日
丸山明神奉讃会結成発起人(順序不同)
亀田郡戸井町字弁才町 蛯名 初雄
〃 〃 〃 梅原 吉美智
〃 〃 〃 佐藤 可也
〃 〃 〃 石岡 常吉
〃 〃 字館町 沢田 熊蔵
〃 〃 〃 四村 善治
〃 〃 〃 宇美 誠
〃 〃 〃 小倉 武
〃 〃 〃 野呂 進
〃 〃 字西浜町 小野 武男
〃 〃 字汐首町 瀬戸 栄太郎
函館市石崎町 原田 仙蔵
〃 〃 原田 キクエ
函館市米原町 佐藤 福太郎
各位
丸山明神奉讃会会則(案)
第一条 この会は丸山明神奉讃会と称し、事務所を会長室におく。
第二条 この会は丸山明神の信仰者をもって組織する。
会長は職業、年令、性別を問わない。
第三条 この会は、丸山明神奉讃の趣旨をもって左記の事業を行う。
一、丸山明神参詣(参詣日時の連絡)
二、参道、境内の整備
三、駐車場の整備
四、標識の設置(別れ道等に)
五、会員の親睦
六、その他必要な事項
第四条 この会に左記の役員をおく
会 長 一名 副会長 二名
理 事 若干名(内一名は会計担当)
監 事 二名
第五条 役員は総会において選び、任期は二ケ年とする。但し重任を防げない。
第六条 会長はこの会を代表し、会務を総理する。
副会長は会長を補佐し、会長事故ある時はこれを代理する。
理事はこの会の事務を掌理する。
監事は会計を監査する。
第七条 この会の会議を分けて総会と役員会とし、定期総会は毎年一月に開き、会則案、事業案、予算案を審議し、決算の承認を行い役員改選を行う、役員会は随時会長が召集し、会務の執行について審議する。
第八条 この会の経費は会費及び寄附金をもってこれに充てる。会費の額は、定期総会においてきめる。
第九条 この会の会計年度は毎年一月一日に始まり、十二月三十一日に終る。
第十条 この会に左記の簿冊を設ける。
一、会員名簿 二、会計簿
三、事業記録
この会則は昭和 年 月 日から施行する。