七、古武井、大滝の沢の大火(明治四十三年)

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 明治四十三年四月十三日午前十一時頃、尻岸内村字古武井、大滝の沢、角谷萬之方から出火し、十二棟十八戸の部落全部を灰〓に帰し、山林に延焼しているのを、巡視中の巡査部長小野豊次郎が発見し、現場に駈けつけた。然し古武井までは二里余り離れており、消防組を召集する暇もなく、附近から駈けつけた者を督励して消火につとめ、翌朝漸く消しとめることができた。
 罹災者は押野鉱山本務所の新築厩舎に収容し、食糧等を本務所から給与し、救護の万全を期した。
 急報に接した戸井分署長山本八十八警部が現在に着いた時は既に救護方法が萬全に整っていた。
 家屋焼夫坪数は一二四坪、馬二頭焼死、損害額は七九五円に達した。出火の原因は萬之の妻ノブの炉火の不始末とわかり、明治四十三年六月二日、失火罪として函館区裁判所で罰金十円に処せられた。