即ち昭和四十二年、西部浜町に「中央公民館」、昭和四十三年、釜谷町に「青少年会館」、昭和四十四年、弁才町に「児童館」、昭和四十五年、原木町に「特別母と子の家」、昭和四十六年、東浜町に「児童遊園地及び生活館」、昭和四十七年、弁才町に老人憩いの家「寿(ことぶき)の家」、汐首町に「児童館及び児童遊園地」、中央公民館の東隣りに「郷土館」などが続々と竣工したのである。
従来社会教育の場をもっていなかった戸井町に、前述のような文化、教養、福祉の近代的な建物を完成した戸井町の社会教育の進展が期待される。
これらの施設の概要を竣工順に述べてみたい。
1 中央公民館(西浜町)
中央公民館
戸井町で文化、教養、福祉施設として、最初に建てられたのが公民館で「戸井町中央公民館」と名づけられた。中央公民館は石崎町の原田組が工事を請負い、設計管理は札幌市二葉設計事務所で担当し、昭和四十一年八月二十五日に着工、昭和四十二年三月二十日に竣工した。
場所は浜町のエビシ川左岸台地で、敷地面積二四二八平方メートル、建物は補強ブロック造である。工事費は整地費として六五万円、建築費は一、〇九二万一千円を要し、総工費は合計一、一五七万一千円である。
建物の総面積は五八三・三一平方メートルで、事務室、館長室、青年研修室、調理実習室の附属した婦人研修室、和室及び大講堂がある。この外に管理人居住室を設け、管理人を常駐させている。
開館と同時に、従来役場庁舎内においた教育委員会の事務局を公民館に移し、館長室を教育長室に充当し、教育長が館長を兼務して現在に及んでいる。
中央公民館が開館してから、役場、学校、漁協、青年団体、婦人団体、老人クラブ、町内会関係の各種会合が行われ、各種の講習会が開催されている。又大講堂は各種団体の大集会、青年、児童、生徒のレクリェーションや卓球などの軽スポーツの場として活用されている。更に結婚披露宴の会場としても利用され、戸井町の文化センターとしての役割を十分果している。
館長は開館以来堀田教育長が兼務して現在に及んでいる。又管理人は佐藤豊次が開館と同時に任命されて現在に及んでいる。
公民館の運営に当っては、公民館運営審議会を設置し、その諮問を受けつつ運営の改善につとめている。開館以来の公民館運営審議会委員は次の通りである。委員の任期は二ヶ年である。
[公民館運営審議会委員]
◎印は委員長( )は途中委嘱の委員
昭和四十七年十二月末に中央公民館の東隣りに「戸井町郷土館」が建設され、中央公民館と郷土館を一体して文化活動が行われ、名実共に戸井町の文化センターになった。
2 青少年会館(釜谷町)
青少年会館
戸井町東部に公民館を設置すると同時に、西部地域にも公民館的な役割を持たせた施設の必要性を考え、「戸井町青少年会館」と銘うって、昭和四十三年七月二十七日着工、同年十月二十日竣工した。
場所は釜谷町の戸井西部漁業協同組合事務所の隣りである。構造は補強コンクリート造で、敷地面積九二四平方メートル、建物面積四一七、七四六平方メートルで、松前町の今井組が工事を請負い、函館市の山田建築設計事務所が設計管理者となり、総工費一、二二五万円を要した。
青少年会館は戸井西部地域の文化センターとして、東部地域の中央公民館と同様な役割を果している。青少年会館は中央公民館と同じ役割を果しながら、その管理運営は町長部局に所属していたので、「中央公民館と同様、教育委員会の所管に移し、運営管理の一本化を図るべきである」という意見が、各種会議の席で出たために、昭和四十六年度以降、教育委員会の所管に移された。
建物は体育室(小体育館)と集会室に大別され、体育室は地域の青少年の体育、レクリェーションの場となり、集会室は青年、婦人活動及び地域住民の各種集会の場として活用されている。
3 児童館(弁才町)
児童館(弁才町)
戸井町では児童に健全な遊び場を与え、その健康増進と情操陶冶を図り、児童の健全育成を目ざして、弁才町に「児童館」を設置することを計画し、昭和四十四年九月一日に着工し、同年十二月十九日に竣工した。
構造は木造平家建で、建物の総面積は二八九、七六平方メートル、工事費総額は五二六万円である。
工事は石崎町の原田組が請負い、設計管理は函館市の堀川町の山田建築設計事務所が担当した。
児童館の運営は教育委員会から委嘱された委員によって構成された児童館運営委員会の意見を聞いて行われている。
児童館は児童の使用に支障のない時間を利用して、婦人団体や地域住民の会合や講習会などの会場としても活用されている。
4 特別母と子の家(原木町)
特別母と子の家(原木町)
従来原木、二見地区には、諸会合に使用する建物がなく、あらゆる会合は、原木神社の社務所で行われていた。
戸井町ではこの地域の強い要望により「特別母と子の家」の設置を計画し、昭和四十五年八月六日に・着工し、同年十月三十一日に竣工した。
構造は木造平家建で、建物面積二六七、七〇四平方メートル、総工費七〇〇万円を要した。工事は石崎町の原田組が請負い、函館市堀川町の山田建築設計事務所が担当した。
「特別母と子の家」は、原木川の右岸の川ぶちに建てられ、風の当らない、原木川のせせらぎの聞える場所で、各種会合や研修会、講習会等にも利用され、この地域の文化センターの役割を果している。
5 児童遊園地(東浜町)
児童遊園地(東浜町)
道路は自動車の交通が頻繁(ひんぱん)となり、子供たちの遊び場が少なくなったので、戸井町は東浜町に「児童遊園地」を設置することを計画し、昭和四十五年八月十三日に着工し、翌四十六年三月二十日に竣工した。
工事は二、六四五平方メートルの面積を整地し、各種遊戯施設、遊具を附設し、総工費二五〇万円を要した。
工事は小安町の大瀬組が請負い、戸井町役場が設計管理に当った。
この年の十二月に、児童遊園地のそばに「生活館」が竣工し、東部浜町の子供たちや住民の要望が一挙に達成された。
6 生活館(東浜町)
生活館(東浜町)
戸井町は原木町の「特別母と子の家」設置に次いで、東浜町に「生活館」を設置する計画を立て、昭和四十六年九月二十二日に着工し、同年十二月二十日に竣工した。
構造は補強ブロック造り、一部木造平家建で、建物面積二五三、一〇九平方メートル、総工費九二八万円を要し、工事は石崎町の原田組が請負い、函館市堀川町の山田建築設計事務所が設計管理を担当した。
従来この地域は、各種団体や地域の会合には、個人の住宅を借りて行っていたが、生活館が開館して以来、諸会合はここで行われ、各種研修会、講習会等も生活館を会場として実施され、東部浜町の文化センターの役割を果している。
7 老人憩いの家「寿(ことぶき)の家」(弁才町)
寿の家(弁才町)
戸井町では、昭和四十五年四月一日限りで廃止された弁才駐在所の敷地に、老人憩いの家を設置することを計画し、昭和四十七年十月一日に着工し、同年十二月十日に竣工し、「寿(ことぶき)の家」と命名した。
構造は木造平家建、建物面積一〇一、三平方メートル(三五坪)である。工事は石崎の原田組が請負い、総工費四一二万二千円を要した。
8 児童館(汐首町)
児童館(汐首町)
戸井町では、弁才町の児童館に次いで、汐首町へも児童館の設置を計画し、昭和四十七年八月七日に着工し、同年十一月二十七日に竣工した。
構造は木造部分三十坪、ブロック部分五十七坪、合計八十七坪(二八八平方メートル)である。場所は汐首岬の高台、潮流渦巻く津軽海峡の絶景を一望に見渡せるところである。
工事は石崎町の原田組が請負い、総工費一二〇七万九千円を要した。
汐首地域は人家の立並ぶ国道沿いの地域が狭溢で、子供たちの遊び場がなく、地域住民の会合の場所がなく、汐首地域の住民待望の施設であった。
9 児童遊園地(汐首町)
児童遊園地(汐首町)
戸井町では児童館の建設と共に、児童遊園地の設置を計画し、浜町地区の児童遊園地に次いで、汐首町に第二の遊園地を設置した。
工事は昭和四十七年十一月二十日に着工し、翌四十八年一月に竣工した。工事の内容は一〇〇〇平方メートルの整地とフェンスその他の附帯施設を行い、総工費二二八万五千円を要した。
この工事は石崎町原田組が請負った。場所は児童館のそばで、児童館と共に汐首地域の子供たちの遊び場として活用されることが期待されている。
10 郷土館(西浜町)
郷土館(外観)
郷土館(内部)
戸井町の歴史資料、民俗資料、文化財等を蒐集し、これを常時町民に展示し、戸井町発展の姿を一目でわかるようにすることを主目的とし、戸井町郷土館と銘をうって、昭和四十七年八月二十二日に着工し、同年十二月二十九日に建物が完成した。
この郷土館には前記の資料を展示して公開すると共に、水槽四基を設置して、戸井近海に棲息するソイ、アブラコ、カレイなどの魚類やウニ、アワビ、ムイ、ナマコ、タコなどの海棲動物を飼育し、小型水族館として公開し、その他図書閲覧室や町民の各種作品を展示するギャラリーも作って、町民に開放し、町民の文化センターにしようというねらいである。
建物の構造は鉄筋コンクリート造り、二階建で、一階は二〇四・〇七平方メートル、二階は一五〇平方メートル、合計三五四・〇七平方メートルである。場所は中央公民館の東横で、公民館とは廊下で連絡している。津軽海峡に面し、二階のバルコニーからは、戸井のシンボル武井の島はもちろん、津軽海峡、下北の山々が一望に見渡せる。
一階は一三二平方メートルの展示室及び暗室つきの事務室があり、展示室には戸井町から出土した石器、土器の外、漁村として発展した戸井の、昔からの漁具や漁網、魚船の模型を陳列し、その他、昔の生活用具、子どもたちの遊び道具などを陳列して、郷土の昔を偲ぶ資料にしようと、その蒐集については町民の協力を呼びかけている。一階はこれらの資料展示室の外に、長さ二メートル、幅七五センチ、深さ一メートルの水槽四基を設置して、近海産の魚介類を展示する。
二階には五十二平方メートルの図書閲覧室を造り、約三十人の人が利用できるようにした。又町民の書画、写真、生花、手芸等の各種作品を展示するギャラリーもつくられている。
この郷土館の内部整備と諸資料の蒐集を昭和四十八年三月末までに終り、六月頃から開館する予定である。
工事費総額は一八、五九九、〇〇〇円で、その内訳は整地費一、〇〇〇、〇〇〇円、建物建築費一七、五九九、〇〇〇円で、工事請負者は、函館市中島町今井工務店、設計管理者は、函館市杉並町小南建築設計事務所である。