戸井館は別名、岡部館とも称され、現在の戸井町に所在し、館の設立年代は、十四世紀中頃から十五世紀前半と云われ(中世の戸井館址)館主は『松風夷談』より岡部氏の名が上げられ、後の原口館主の一族の系統の人と考えられている。
松風夷談(函館図書館蔵)
岡部館トイフ處コレアリ、右ノ處ニ石碑アリ公辺御役人中ヨリ右碑石摺ニ申付ラレ摺候エ共文字聢ト相分リ申サズ右石摺ノ内ニ岡部六弥太六代孫岡部六左衛門尉季澄ト云名ノ所斗リ顕然ト分リ候由
戸井館が構築された頃館主であった岡部氏はアイヌ人勢力と対峙しながら、その勢力範囲は、明らかではないが、ある種の漁業権や徴税権を有し、この地の支配をしていたものであろう。