寛政十二年ころの昆布漁業

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 『蝦夷島奇観』寛政十二年(一八〇〇)刊は昆布採集時期と種類について次のように述べている。
 
  一、御上り昆布、汐首岬より東シカベ海辺迄産す。長一丈三四尺、幅五六寸、紅黄緑色、採挙て清浄の地を択み乾す。五十枚を一把とし、又其上を昆布にて包十六所結び、庁に奉る。是を昆布の絶品とす。
  一、シノリ昆布箱館東海に産す。長七尋余、幅一尺三四寸、緑色、味甘美、此昆布は唐山に送る。
  一、菓子昆布、色黒緑、長一丈ばかり味至って甘美、汐首岬よりシカベ海底に産す。
  一、夷地三つ石、ホロイヅミ・シラヌカより出る品、長七尋余、幅三四寸、緑色、此外処々より産す。雑品なり。
 
 この「蝦夷島奇観」の記事から、昆布の採取時期は六月土用から八月十五日頃までにかけてであり、この当時の昆布の種類が、御上り昆布・志苔昆布・菓子昆布・三ツ石昆布等であったことがわかる。(御上り昆布というのは元昆布に属するものである)

蝦夷嶋奇観」寛政12年(1800) 昆布と採取用具の図


蝦夷嶋奇観昆布取りの図 寛政12年(1800)