[自然環境と動物区分]

61 ~ 62 / 1210ページ
 生物は生命を維持するためには体外の環境より必要なエネルギーを取り入れなければならないが、生物の一員である鳥類も昆虫も同じく例外ではない。例えば緑色の植物が光合成と炭素同化作用によって生産されたものを昆虫が食べ、その昆虫を鳥類が食べる。そして体の中から不必要なものを排泄(はいせつ)物として体の外の環境に放出する。このことによって食物連鎖がはじまり復雑にからみ合っていく。このことは鳥類も昆虫も環境より影響を受け、環境に影響を与えていることになる。その取り巻く環境は水であったり気象、地形、地質、あるいは微生物や植物などあらゆる条件が含まれてくる。
 鳥類は脊椎動物で翼をもち卵を産むが、翼をもって自由に飛び回ることができるにもかかわらず産卵するときは必ず陸地でなければならない。そして生息場所や移動範囲、渡りのコースなども種類によってほぼ限定されている。昆虫も翅や肢また、風によって移動することができるが、その環境に適した種類やグループだけが生息して行くことができる。したがって、生息分布を調べることによって生息区分が考えられる。
 南茅部町は動物地理学的にはユーラシア大陸、日本、イギリス、アイルランドなどが含まれる旧地北区(ウォーレス 一八七六年)に属している。
 津軽海峡には動物区分のブラキストン・ライン(ブラキストン 一八八三年)がある。ブラキストンは鳥類については北海道にはエゾヤマドリ(エゾライチョウ)、シマフクロウなどがいるが、本州にはキジ、ヤマドリはいるが北海道には全くいないことにより区分したが、このほかにもヤマゲラ、亜種に属するエゾアカゲラ、エゾオオアカゲラ、エゾコゲラ、シロハラゴジュウカラなどは本州に生息しておらず、本州と区分されている。
 北海道の鳥類区分として亜地方境と考えられる札幌の藻岩山と襟裳岬を結ぶ線(山階・井上 野鳥第一二巻)がある。鳥類、昆虫にも深い関係のある植物地理学的区分には石狩低地帯、黒松低地帯がある。