ようやく萱部(かやべ)という村につき、ここにて休み午飯を喫し、大きな焚火をして寒さにこごえた体に思いきり暖をとらせ、手足をあたためあった。
烈しく雪が降りしきるので晴れ間を待つことにする。ようやく風雪もおさまったので再び荒野を進み、辛うじて鹿部村について宿陣した。砂原村より四里二一丁五一間の道程であった。
一〇月二四日、星隊長率いる額兵隊が先鋒となり、暁天を仰いで鹿部村を出発。トコロ川を渡って海辺を行き、ボーロより山越えをしてケカチ浜へおり、磯谷の波打際を伝い熊泊村に着く。ここで午飯を食し兵を休息させる。
漁師の舟をやとって兵糧、弾薬を舟に積み川汲へ海上送り出す。兵は海に沿って進み、モサシ岬を山越えして臼尻村より板木へと平道を進み川汲に着く。