刀や槍・薙刀

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 沿岸の旧家に、戦前、刀や槍・薙刀などが多く所蔵されていた。とくに〓小川家や飯田家の倉庫には、数十本(振(ふり))の刀があった。戦後、ほとんどの刀や槍などは占領軍の命令で凶器として処理されてしまい、法的手続きをとったものが数点あるだけになった。川汲の〓小板家にも刀がたくさんあったが、小川・飯田両家と同じく、村の自衛用の武器であったという。頭取・名主など村方三役を勤めたり、会所の置かれた家に、とくに幕末の世情不安な頃、村や漁場の護身用に備えられた槍・刀であった。
 このほか旧家にある一、二の刀などは、それぞれに何時、どうしてもらったと曰く因縁(いんねん)がついている。
 木直〓山口家にあった槍は、箱館戦争のとき、官軍に徴用されていった先祖の山口松蔵が、帰郷のときもらった槍である。このとき同じ木直の〓の先祖は薙刀をもらい、〓の先祖は刀をもらった。(山口仙太郎談=明治三七年生)