七月二六日、南茅部村議会は、南茅部村を町とすることを議決し、鈴木村長は北海道知事に対して申請した。
昭和三十四年七月二十七日
茅部郡南茅部村長 鈴 木 慶 一 印
北海道知事 町 村 金 五 殿
南茅部村を町とすることについて申請
地方自治法第八条第三項の規定により昭和三十四年九月一日から茅部郡南茅部村を南茅部町とすることについてよろしくお取計願いたく関係書類を添えて申請します。
添付書類
一、町とすることを必要とした理由
一、村議会の議決書及び会議録の写
一、村民の意こう
一、概況書及び附表
一、関係図面
一、写真
一、町とすることを必要とした理由
茅部郡南茅部村は渡島半島の東南端に位し東西三六・三粁、南北六粁面積一五九・四八平方粁で北海道の表玄関函館市とは国鉄鹿部駅経由で片道の所要時間約三時間、又乗合自動車による川汲山道経由では約二時間の距離にある。
開村の沿革はその太古の消息はよるべき記録がないため詳らかに知る事は出来ないが、約三百年程と推定されている。
地形は海岸線に沿って丘陵起伏し気候は比較的温暖で農耕漁労操業に適し、特に道南の魚の宝庫として又全国に例をみない実習船を保有する定時制南茅部漁業高等学校を設置し試験実習操業を行うなど北海道水産業界に広く知られているところである。
以上のように漁村として発達した村だけに近代建築や華美な娯楽施設には乏しいが、函館地方法務局出張所、渡島支庁水産物検査所二、渡島支庁林産物検査所一、函館林務署駐在所二、巡査部長派出所一、巡査駐在所四及び郵便局六の官公衛をはじめ金融機関としては充実せる渡島信用金庫支店二、北洋相互銀行支店一、漁業協同組合信用部等の所在地であり、別紙概況のとおり既に昇格した他町に比し遜色なき規模と町たるに必要な要素が充実されている。
議決謄本
第三回臨時会議案第一号
茅部郡南茅部村を茅部郡南茅部町とすることについて
地方自治法第八条第三項の規定により、昭和三十四年九月一日から茅部郡南茅部村を茅部郡南茅部町とすることを北海道知事に申請するものとする。
昭和三十四年七月二十六日提出
茅部郡南茅部村長 鈴 木 慶 一
昭和三十四年七月二十六日議決
茅部郡南茅部村議会議長 藤 本 種 八
右原本により謄写する
昭和三十四年七月二十七日
茅部郡南茅部村長 鈴 木 慶 一 印
二、住民の意こう
本村に町制を施行することについては昭和三十年町村合併促進協議会設立当時から住民の間に澎湃としてその意欲が高まり本年五月一日新村発足に至って更に町制施行の要望が熾烈となり、今や全村民は村の行財政に対し全面的に協力し一日も早く町への昇格実現を期待している。
昭和三四年七月
「南茅部村を町とすることについての申請書」