〔明治の商業〕

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 明治一二年の函館新聞(第二二二号)に、尾札部村吉川方に寄留の新潟県平民松永藤右衛門が、臼尻学校の開校を祝って長さ七尺、幅五尺の国旗(日の丸の旗)を寄付した、と報じられている。
 そして、松永藤右衛門は渡航以来、日々小間物を背負って近隣を売り歩く者なりと記している。松永は間もなく川汲山道入口辺に、海岸一の日用雑貨商(あきな)いの店舗を構えて繁昌し、川汲の総代なども勤めた。この地方で開業する商人の多くは、始め行商人として来往し、寄寓して蓄財の上のちに小さな店舗を構える。