川汲山道の道中

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尾札部 吉川菊蔵(明治二七生)談
 早朝、尾札部から草鞋はいで歩いて行けば、一本木の茶屋(馬揚)まで行くと一一時ごろになる。
 そこで昼食べる。持って(行っ)た握り飯喰ったり、おかずなければ、茶屋からおつゆ出してもらって喰った。
 それから上(山)さあがって行ぐ。山の上に街道(けんど)あるから、そこら辺は木原(きわら)っていう。木原を通って牧場へ出て、上湯川へ出る。一本木から今の亀尾の方回れば遠いわげだ。歩いてえぐんだ。
 だからそっち(亀尾)通るの、めったに無(ね)えんだ。木原ばし通ってえぐんだ。

蝦夷日誌」河汲峠之図    市立函館図書館 所蔵