清水先生、オオサンショウウオがへってきているのは、川を工事してコンクリートにしたせいだって聞きました。 もう一度工事をして、元の自然な川にもどすことはできないんですか?
川の水は、人間が生活するためにも大切です。 洪水(こうずい)などの災害から身を守るために、川べりを工事する必要があります。 今から全ての川を自然にもどすのはむずかしいでしょうね。
そうなんですね…。 わたしたちに何かできることはないのでしょうか?
わたしたちはオオサンショウウオの繁殖や子育ての手助けができます。
下の写真は、広島市の安佐動物公園が作った人工の巣穴です。
最近ではオオサンショウウオが卵を産めるように、コンクリートの川べりに人工の巣穴をつくっています。
(出典:桑原一司氏提供)
こうした巣穴があれば、ぼくたちは安心して子育てができるね。
ほかにはどんな取り組みができますか?
川の一部を作りかえることでも、オオサンショウウオを助けることができます。
下の写真は、東広島市の北にある安芸高田市(あきたかたし)の川の様子です。
川の階段みたいなところの横に「スロープ」という坂道をつけてあげています。
また、表面にはコンクリートではなく大きな石を使っています。
こうすることで、オオサンショウウオが川を登れるようにしているんです。
(出典:安芸高田市提供) 【資料】オオサンショウウオと堰(せき)
(出典:『オオサンショウウオがいるらしい』、画像データは山﨑大海氏提供)
スロープがあれば、川の上流に登ることができるね。
清水先生は、オオサンショウウオのためにどんなことをやっているんですか?
わたしたちの研究グループは、豊栄町を流れる椋梨川(むくなしがわ)に生息しているオオサンショウウオについて調べています。
何度も椋梨川に調査(ちょうさ)に行って、オオサンショウウオを見つけては、体重、全長、体のとくちょう、オスかメスか、見つかった場所などを記録しています。
これまでの調査で、だいたい60頭のオオサンショウウオがいることや、自然に繁殖して子どもが生まれていることがわかってきました。
でも、2018年の大雨でオオサンショウウオの多くが流されてしまいました。わたしたちはこういうオオサンショウウオをさがしだして、元のすみかにもどす取り組みをしているんです。
(出典:広島大学デジタル自然史博物館HP)
大変な作業ですね。 どうしてそんなことをしているんですか?
オオサンショウウオは、まだまだわからないことがたくさんあるんです。
オオサンショウウオを守るためには、まずオオサンショウウオについて知ることが大切なんです。
わたしたちはオオサンショウウオを守るために何ができるでしょうか?
オオサンショウウオについてくわしく知ってほしいです。
例えば東広島市には、「オオサンショウウオの宿」という施設(しせつ)があります。
ここは、ケガなどで弱ったオオサンショウウオをあずかって保護(ほご)している病院のようなところです。
申しこめばみなさんも見学することができます。行ってみてはどうでしょうか。
(2020年4月4日撮影) 【資料】一時保護施設で保護されているオオサンショウウオ
(2020年4月4日撮影)
他にも、オオサンショウウオについて勉強できるところはたくさんあります。
わたしが働いている広島大学の総合博物館(そうごうはくぶつかん)では、オオサンショウウオのさまざまな展示(てんじ)をしています。
わたしが作るのをお手伝いした『オオサンショウウオがいるらしい』という本は、市役所で買うことができます。
もっとくわしく知りたい人は、『オオサンショウウオと暮(く)らすための50のこと』という本もぜひ読んでみてくださいね。