ところが
稲作農耕が日本列島に持ち込まれた
弥生時代になって、人口が急増する。そして近年の研究によれば、その背景として、大量の北方人の日本への移住があるというのである。その北方人とは、先に触れた極端な寒冷地適応を遂げた
新モンゴロイドたちであった。彼らは朝鮮半島を経由して(あるいは中国大陸から直接渡ってきた可能性もあるが)北九州にやってきたと推測されるが、その原郷は北東アジアであるとされる。
渡来人の上陸地点は主に北部九州である。こうして日本列島には北九州を中心とする渡来系の
弥生人と、
縄文人の血を引く在来系の
弥生人との二重構造が生じることとなった。頭骨の計量分析によると、
土井ヶ浜人(写真17)は渡来系の代表であり、数値上、西北九州の在来型
弥生人とはまったく異なった位置を占めている。
写真17 土井ヶ浜遺跡人骨(山口県豊北町)